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牛の初乳が子供の風邪に予防効果 小林製薬が抗体を確認
分娩(ぶんべん)後約1週間の牛の母乳に、人間の子供の風邪を予防したり、風邪から回復しやすくしたりする効果がある抗体が含まれていることが、小林製薬(大阪市)の研究で分かった。インフルエンザウイルスの感染予防効果も確認。同社は「免疫力が低い子供だけでなく高齢者への有効性も期待できる」としており、15日に福岡市で開かれる研究会で発表する。
風邪への効果が確認されたのは、分娩後6〜7日目の牛の母乳(後期初乳)。子牛は誕生後、母乳を通じて母牛から抗体を受け取っており、流通が認められていない分娩後1〜5日目の初期初乳と同様の効果が得られることが新たに確認され、鮮度を保つため後期初乳の脱脂粉乳からタブレットを試作した。
効果をさらに詳しく調べるため、平成18年11月から19年3月、3〜9歳の子供196人を対象に、タブレットの臨床試験を実施。うち97人が2カ月にわたって1日3粒ずつ飲んだところ、風邪の発症回数はこの間、平均0・96回で、飲まなかった場合の1・28回を下回った。特に、抵抗力が弱い3〜6歳では、飲んだ場合が0・88回、飲まなかった場合が1・43回とより高い効果が得られた。
風邪から回復するまでの日数も、飲んだ場合は4・67日で、飲まなかった場合の8・14日のほぼ半分に短縮することも確認した。
一方、ヒト細胞試験では、後期初乳の成分がインフルエンザウイルスと細胞の表面に吸着し、ウイルスを無害化して細胞にバリアを形成。ウイルスが細胞に付着せず、感染阻害効果があることが判明した。同社は「ウイルス感染の予防も期待できる」としており、タブレットの商品化を目指すという。