不動産バブルで忍び寄る「韓国版サブプライム問題」(上)
不良債権化につながる可能性
米国の金融危機を引き起こした不動産バブル問題が全世界に拡散している中、韓国の一部金融機関がいまだに過剰な住宅担保融資競争を繰り広げ、住宅バブルの危険をはらんでいる、という指摘が出ている。韓国の不動産バブル問題に対し、これまで政府や金融業界は「LTV(資産価値に対する負債の比率)やDTI(総負債償還比率)規制のお陰で住宅価格が下落しても住宅担保融資が不良債権化する危険性は低い」と説明していた。
しかし専門家は「融資規制が甘い投資会社や貯蓄銀行などのいわゆる“第2金融圏”や、(規制が強化された)2006年より前に高い担保率を適用して銀行が実施した融資を中心に、危険性が高まっている」と警告している。
現在の状況で住宅価格下落の流れがさらに加速すれば、住宅価格の下落→融資の延滞率アップ→不良債権化→信用収縮→金融危機につながる、という「韓国版サブプライム・モーゲージ(低所得者向け高金利型住宅ローン)」騒動が巻き起こる可能性も排除できない、というわけだ。
- ソウル市江北地域のあるマンションのロビーには、マンション価格の80‐90%まで融資するという内容の宣伝ビラがあちこちに貼られている。広告主は第2金融圏の貸金業者。(金融機関名と連絡先は、見えないようにモザイク処理)/写真=チョン・チョルファン記者
◆ブレーキのない融資競争
10月18日、入居者招待イベントが行われたソウルのある改築マンションには、休日にもかかわらず、K銀行・S銀行・N協同組合の行員が集まり、入居予定者らの腕をつかんで営業合戦を繰り広げていた。ある入居予定者が相談席に座るや、銀行員は「(融資)手数料の免除に加え、(2006年以前の契約で)LTV適用もない最低金利条件」と融資を勧めた。住宅価格の下落など知らぬ顔で韓国の銀行が行った住宅担保融資の総額は、今年8月末現在で約233兆ウォン(現在のレートで約17兆円、以下同)に達し、昨年末に比べ11.3%も急増している。今年に入り、毎月1兆4000億ウォン(約1024億円)ずつ増えたことになる。
このような住宅担保融資の急増に対し懸念が高まっているが、銀行側は「住宅価格が急落しても、住宅担保融資が不良債権化する可能性は低い」と主張している。既存の住宅担保融資のLTVは48%に過ぎず、住宅価格が半値にならない限り損害は出ない、という計算だ。
チョン・チョルファン記者
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