堤剛というひと。
1942年生まれの堤は父の手ほどきでチェロを学びましたが、8歳でリサイタルを開くなど、幼少期より才能を発揮。桐朋学園子供のための音楽教室、桐朋学園高校音楽科を通じ齋藤秀雄に師事し、1956年に文化放送賞、1957年には15歳で第26回日本音楽コンクール第1位と特賞を受賞しました。1960年にはN響海外演奏旅行にソリストとして同行して欧米各地で共演しています。
桐朋学園高校音楽科を卒業後、1961年インディアナ大学に留学し、ヤーノシュ・シュタルケルに師事。1963年には21歳で師シュタルケルの助手を務めました。
そして、同年ミュンヘン国際コンクールで第2位、ブタペストでのカザルス国際コンクール第1位入賞を果たし、以後、内外での本格的な演奏活動を開始します。
65年にはインディアナ大学より「アーティスト・ディプロマ」を受賞。西オンタリオ大学准教授、イリノイ大学教授、インディアナ大学の教授を経て、現在、桐朋学園大学学長、そして霧島国際音楽祭音楽監督を務めています。
さらに2007年9月1日、リニューアルオープンしたサントリーホールの新館長に就任。「さらに世界への発信、交流を深めていこう」というサントリーホールの願いのもと、自らもアーティストとして、世界の著名音楽家とも交流の深い堤に白羽の矢が立てられたのです。
堤剛プロデュース!
プロデューサーとしての手腕も発揮し、定評のある堤。そんな彼が「演奏家としての原点に戻ってみたい」と自らの城でプロデュースするのが、このシリーズです。今までにブリテンの無伴奏チェロ組曲全曲や、18世紀〜21世紀という4世紀にわたるチェロ音楽などを取り上げてきましたが、それは古典音楽から現代音楽まで幅広いレパートリーをもつチェリストならではの試みでしょう。
猿谷紀郎の新作、世界初演!
そんな彼の手になる今回は「日本を代表する作曲家達の《無伴奏チェロ独奏曲》に焦点を当て、チェロの可能性に挑戦」するというもの。黛敏郎、三善晃、新実徳英、間宮芳生、そして猿谷紀郎の《無伴奏チェロ独奏曲》が演奏されます。特に猿谷紀郎の作品は、この公演のために作曲を委嘱。世界初演となります。
大変興味深いプログラムな上に、さらに猿谷紀郎作品の世界初演まで演奏される今回。知られざるチェロの名曲、そしてチェロそのものの魅力を改めて知る機会となることでしょう。
|