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[厚労省]低所得者に年金上乗せ 「一律1万5千円」で調整

 厚生労働省は7日、低年金・低所得の高齢者に対する最低保障機能を強化するため、単身者に限って税金で基礎年金に一定額を上乗せする案の検討に入った。一律1万5000円程度で調整する。12日の社会保障審議会年金部会に最低保障額を設定する案などとともに概要を示す。来年の通常国会に提出する基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる法案に検討規定を盛り込む意向だ。ただ最低でも数千億円を要する財源のメドはついておらず、実現の有無は数年後に消費税増税が実現するか否かに左右されそうだ。

 現在、基礎年金は満額で月額6万6000円。「これでは生活できない」との声も強い。最低保障機能を強化する必要性は、4日の政府の社会保障国民会議最終報告も指摘した。厚労省は、夫婦世帯なら双方の基礎年金が満額で計13万2000円となるため「生計維持は可能」とみるが、単身者は「生活が困難」とみて、救済案の検討に着手した。

 これまで税での年金補てんに難色を示してきた厚労省だが、65歳未満の妻がいる夫の年金額に加算される制度が既に存在することを踏まえ、「家族形態の違いに着目した上乗せは可能」と判断した。

 上乗せするかどうかは、年金を含めた総所得で決める。月額所得が基礎年金だけの人の場合、生活保護の生活扶助基準(最高8万820円)を上回るにはさらに約1万5000円が必要との根拠から、1万5000円程度を一律上乗せする案を検討している。現役世代で保険料を十分払えない人に、税で一部を肩代わりする支援策と併せて実施する案が有力となっている。

 必要な財源は5000億円以上。障害基礎年金などにも対象を広げた場合は給付額が膨らむ可能性がある。生活保護との違いがあいまいとなる上に、高齢者の所得把握が必要になるといった課題も残されている。

 厚労省は、保険料の納付時効(2年)の後も自主的に追納できるようにしたり、働く高齢者の年金を減額する在職老齢年金のカット幅を縮小する案も検討している。これに必要な財源は、高所得者の保険料引き上げで捻出(ねんしゅつ)する考えだ。【吉田啓志】

 ◇「年金不信」に押され

 厚生労働省がこれまで難色を示してきた、税で年金額を上乗せする措置の検討を始めたのは、年金記録漏れ問題が一向に終息する気配がなく、現行制度にこだわり続ければ年金への国民の不信が決定的になりかねないと危惧(きぐ)するためだ。その一方で、基礎年金を全額税でまかなう税方式の導入論が強まることを同省は最も警戒しており、これらの低年金対策で、税方式導入論を封じる意向も見え隠れする。

 現在の年金制度は、保険料を払った人が給付を受ける「社会保険方式」が基本。その理念がゆがめられるとして、厚労省は税による補てんに難色を示してきた。だが、07年に広がった記録漏れ問題は、現行制度の見直し論に発展。社会保障国民会議でも、最低保障機能の強化と税方式への転換が共に議論されており、厚労省は、まだ受け入れやすい最低保障機能の強化案を検討せざるを得ない状況に追い込まれた。

 厚労省は04年の年金制度改革で「恒久的な制度をつくった」と胸を張った。しかし、年金不信もあって保険料未納は減少せず、将来低年金に陥る人は相当の数に増える見通しだ。こうした事態を受け、公明党は最低保障機能の強化を訴えるほか、自民党内にも強化案に異論は少ない。厚労省は当初、強化案を時間をかけて検討する予定だったが、衆院選が先送りされたことで、「選挙対策」としても検討を急ぐ必要性が生じた。

 問題は数千億円規模となる財源の調達方法だ。厚労省は基礎年金の国庫負担を引き上げる安定財源として、数年後の消費税増税を想定しており、その際に同時に財源を確保するしかないとみる。ただ、数年後の増税が可能かははっきりしておらず、実現に向けて流動的な要素も残る。【吉田啓志】


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