医師不足により産科の診療制限が行われている県立北部病院(大久保和明院長)に、2人の産婦人科医師が着任、10日から4人体制での診療が始まることが7日、分かった。救急患者の受け入れなど完全再開は関係機関との調整後となるが、県病院事業局は12月1日ごろを見込んでいる。
北部病院は医師不在のため2005年4月に産婦人科を休止。07年12月に医師2人が配置され、今年2月からは婦人科外来診療のみを再開した。7月からは産科を一部再開し、異常妊娠、合併症妊娠の紹介患者を受け入れている。
北部病院の産婦人科が休止した影響で、早産など異常分娩(ぶんべん)の危険性がある北部地域の妊婦のほとんどは県立中部病院が受け入れているため、中部病院の新生児集中治療室(NICU)が満床になる事態が起きている。中部病院総合周産期母子医療センターは「救急患者の受け入れが休止前の状態に戻るには時間が必要だろう。(2人の医師着任後も)これまで通りの受け入れ態勢を取っていきたい」としている。
産婦人科の休止後、再開を求めて関係機関への働き掛けなどを続けてきた名護市女性団体ネットワーク協議会の宮城里子会長は「全国的に医師が不足する中で、北部が4人体制になるのはありがたい」と歓迎。その上で「問題は長く勤務してくれるかどうか。医師とのきずなを深め、地域で支援していきたい」と話した。
北部地域の医療関係者や保健師の有志らでつくる「やんばる母と子の命を守る勉強会」代表の泉川良範医師は、休止後3年かけて北部地域の医療を検証した結果、「(休止の)根本的な理由には、医師の過重な負担があった」と指摘。「再び休止にならないために、医師の負担軽減が必要。ハイリスク妊婦をつくらない自助努力と、地域が産婦人科医を支える姿勢も必要だ」と強調した。
(玉城江梨子、慶田城七瀬)
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