自転車などで書類を運ぶバイク便の仕事をしていた東京都内在住の上山大輔さん(31)が5日、個人請負契約を解除して解雇したのは不当などとして、バイク便大手のソクハイ(東京都品川区)を相手取り、労働者としての地位確認や不払い賃金の支払いなどを求め東京地裁に提訴した。
バイク便で働く人については、個人事業主だとする見解もあったが、厚生労働省が昨年9月に労働者として扱うべきだとする通達を出しており、バイク便で働く人の労働者性が争われる初の裁判とみられる。
訴状などによると、上山さんは04年8月にソクハイと運送請負契約を結んだ。05年には営業所の所長となり、管理業務や採用面接も行った。個人請負では労災が適用されないことなどから07年、労働者として扱うことを求め労組を結成し、委員長に就任した。
ところが、08年1月に所長を解任され、同9月に無期限稼働停止とされ仕事ができなくなった。ソクハイから指揮命令を受け、時間拘束もされる就労実態などから、厚労省の通達にある労働者で、契約解除は解雇権の乱用、不当労働行為に当たるとして地位確認などを求めた。
上山さんは「厚労省の通達をまったく無視した不当な解雇だ」と訴えている。ソクハイは「訴状が届いていないのでコメントできない」と話している。【東海林智】
毎日新聞 2008年11月6日 東京朝刊