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【紙面批評】関西大学教授・木村洋二 日教組が生んだ“寄生者”たち (1/2ページ)
危機は、新聞を元気にする。北朝鮮の金正日総書記の病状はどうか、中国はどう出るか、世界は信用崩壊を乗り切れるか、麻生政権はどう動くのか。
世界は歴史的転換点を迎えたようだ。何か良い知恵や情報でもないか、と紙面をめくるが、膝(ひざ)を打つような記事はなかなか見つからない。その中で「このままでは日本は転落する」と断じた日本を愛する評論家、金美齢氏のコラム「優先席から」(9月5日付)に目を引かれた。
さらに同日付の「正論」では、元駐タイ大使の岡崎久彦氏が「党利党略で国益が沈む」と警鐘を鳴らし、「占領中の日本を罪悪視する教育、冷戦中の共産圏を利するための日教組教育の残滓(ざんし)」が、「公害の雲のように重く日本を覆ってきた」と診断する。
その日教組の教育を受けて、ゲバルトに興じた若者たちの生態は、連載「さらば革命的世代」(毎週金曜=大阪本社発行版のみ)に詳しい。彼らは1960年代後半、機動隊に石を投げ、バリケードで大学を封鎖し、「プロレタリア革命」や「大学解体」を夢想した。
「権力」こそが、民衆の生き血をしぼり取る諸悪の根源であり、「反権力」は正義である、と信じて疑わなかった若者たちも、多くは無事、生き延びて教師やメディア、広告代理店にもぐりこみ、権力や優位者のアラを探して文句をつけることを生業(なりわい)とする「プロテスティング・パラサイト」(抗議する寄生者)と化した。筆者自身、その一人だったと気がついたのは比較的最近である。