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秋ドラマ軒並み好調! この10月クールドラマが“ドラマ不況時代”を変える!?

10月クール新ドラマ 初回視聴率ベスト5
10月20日にフジ系の新ドラマ「イノセント・ラヴ」が放送スタートし、秋ドラマがほぼ1回目の放送を終える形となった。これまでの放送を視聴率で見てみると、ドラマ界に少し光明が見える結果になっているようだ。

フジ系では、比較的早い時期、10月9日にスタートした「風のガーデン」が、放送直前の5日に亡くなった出演者の緒形拳さんの遺作となったこともあり、20.1%の好スタートを切った。演技派俳優がしっかりと見せる“大人のドラマ”で2回目の放送も18.0%と好調を維持。緒形さんの画面を引き締めるような渋みの効いた演技が印象的で、今後、主人公・中井貴一と絡んでいく展開が楽しみだ。

上戸彩と共に今人気急上昇中の上地雄輔が出演するドラマ「セレブと貧乏太郎」も10月14日にスタートし、17.6%を記録。この火曜夜9時枠のことしの作品を初回視聴率で比較してみると、前クールの「シバトラ~童顔刑事・柴田竹虎~」が13.0%、4月クール「絶対彼氏 完全無欠の恋人ロボット」が13.1%、1月クール「ハチミツとクローバー」が12.9%だったことを考えると、同枠の中でもいい数字だったことが分かる。日雇い労働者の厳しい現実、ワーキングプアなど現在の世相を反映したドラマの設定、上地演じる佐藤太郎の“貧乏”ならではの生活の知恵に思わず共感してしまう点も視聴者を引きつける要因といえそうだ。また、同じく上地が出演する日本テレビ系の「スクラップ・ティーチャー~教師再生~」は初回12.6%。悪くはない数字だが、過去に「ごくせん」などのヒット作を出している枠だけに、今後が期待される。

「セレブと貧乏太郎」に続いて放送される火曜夜10時枠の「チーム・バチスタの栄光」は前クール「モンスターペアレント」のすべての回の視聴率を上回る15.2%の好スタート。正義感あふれるひたむきな診察医・田口公平役の伊藤淳史と、少し悪そうな官僚・白鳥圭輔役の仲村トオルが、心臓病の難手術を専門に扱う“チーム・バチスタ”や所属病院の内情に迫っていく姿が爽快(そうかい)。また、原作とは違うエンディングを考えているようで、展開次第では視聴率の上昇につながる要因になるかもしれない。

堀北真希主演、相手役にゆずの北川悠仁を抜てきし、満を持してのスタートとなった“月9”ドラマ「イノセント・ラヴ」は16.9%という数字。ことしの“月9”は、「薔薇のない花屋」が22.4%、「CHANGE」が23.8%、「太陽と海の教室」が20.5%と、初回はすべて20.0%を超えていただけに、少し元気のない数字だが、クライマックスに近づくに従ってクリスマス気分が盛り上がるだけに、堀北と北川の“純愛”ぶりとともに視聴率も上がってくる可能性に期待したいところ。


TBS系では、10月17日にスタートした「流星の絆」が好調。二宮和也、錦戸亮、戸田恵梨香という若手の人気どころでキャストを固めて21.2%と、20%超えを達成した。原作は東野圭吾の本格的ミステリーだが、本編の要所要所を漫画チックに処理するなど、脚本家・宮藤官九郎の斬新な手法が効いて、全体的に重くなりすぎず、週末を迎えるゆっくりと過ごしたい時間帯に気楽に楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっている。この辺りの手法はさすが。宮藤作品は最終回に近づくにつれ視聴率が上がっていく傾向があるため、今後の“数字”に期待が持てるスタートとなった。

10月19日にスタートした「SCANDAL」も16.9%とまずまずのスタート。鈴木京香、長谷川京子、吹石一恵、桃井かおりといった各世代の女優が見せる女性たちの姿に視聴者の共感を得た結果だろう。TBSはことし4月クールに放送した「Around40~注文の多いオンナたち~」で“アラフォー”という流行語を作るまでに社会現象化した、40歳前後の女性に向けた大人のドラマが成功しており、またもその流れが受け入れられる形となった。


また、「流星の絆」とともに、フジ系で放送されている「Room Of King」も面白い空気感を出している。若手の人気俳優・水嶋ヒロを主演に抜てきし、オリジナルストーリーを展開。脇を固めるキャスト陣にも、井川遥、板尾創路、斉木しげる、我修院達也、ミッキー・カーチス、渡部篤郎ら個性派俳優を起用して絶妙な雰囲気を醸し出しているのだ。その空気感を作っているのは、脚本・演出を担当している大宮エリー。その大宮は同ドラマとは別に、11月より日本テレビ系で、大泉洋主演の「サザンオールスターズ 33曲連鎖ドラマスペシャル the波乗りレストラン」をスタートさせる。サザンの曲33曲をモチーフに連続短編ドラマを全33話で構成する。これまで、NHKの「サラリーマンNEO」「エル・ポポラッチがゆく!!」や、スピッツの曲のイメージを基に製作されたwebムービーを映画化した「海でのはなし。」('06年)、竹中直人主演の「男はソレを我慢できない」('06年)など、個性的な作品を手掛けて話題を作ってきただけに、これから年末にかけて業界を騒がせる存在になること必至だ。


テレビ朝日系では、高橋克典からバトンタッチして事務所の後輩・永井大が演じた「サラリーマン金太郎」が絶好調だ。初回13.8%と、同枠での初回視聴率歴代第1位を記録した。これまで同枠は、まさに先輩の高橋が演じた「特命係長 只野仁」が高視聴率を記録したことで“只野枠”と呼ばれていた。人気作の主演交代という逆境を乗り越え、視聴者に支持をされる結果となった。10月16日に始まった、渡瀬恒彦主演で固定ファンを抱える「おみやさん」も14.8%といい数字を残した。

全体的にいいスタートを切った2008年の10月クールドラマ。最近の“ドラマ不況”を跳ね返して“ドラマが元気だった時代”を取り戻してほしい。

※視聴率データはすべてビデオリサーチ(関東地区)調べ。同率4位は放送日順。

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