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イラクのクルド指導者「米軍独自受け入れ」アラブ系反発(1/2ページ)

2008年11月6日22時8分

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 【カイロ=田井中雅人】米軍の来年以降のイラク駐留を巡り、これを法的に可能とする米イラク安全保障協定の交渉が難航している問題で、イラク北部のクルド地域政府指導者から「協定が成立しなければ独自に米軍を受け入れる」との発言が飛び出した。イラクからの「分離独立」の意図を感じ取ったアラブ系議員らが反発している。

 アラブメディアによると、クルド地域政府のバルザニ大統領が10月31日、米ワシントンにあるシンクタンクで講演。「交渉中の安保協定が成立しなくても、米軍がクルド地域への駐留を望むなら、クルド地域政府や民衆、議会は温かく迎えるだろう」と述べたのが発端だ。

 米軍のイラク駐留に法的根拠を与えているのは国連決議だが、年末に期限が切れるため、これに代わる安保協定の交渉が両国間で続いている。

 だが、イラク政府はイスラム教シーア派アラブ人の主導。同じシーア派の隣国イランは米軍のイラク駐留継続に反対しており、これに配慮したマリキ首相は「イラクから周辺国への越境攻撃の禁止」などの修正を米政府に求め、交渉は難航している。

 フセイン時代に抑圧されたクルド人らは、90年代初めの湾岸戦争以降、米国との関係を強めてきた。旧フセイン政権崩壊後は、クルド人指導者タラバニ氏がイラク中央政府の大統領に就任、シーア派アラブ人与党と連携して国内での発言力を強めてきた。

 バルザニ氏はかねてクルド地域の「分離独立」の可能性を示唆してきた人物だが、今回の発言を受けてアラブ系議員らは「イラクの統一をうたった憲法に違反する」「クルドは出しゃばりすぎだ」と反発し、謝罪を求めている。

 クルドは米国を、シーア派はイランを「後ろ盾」としており、米国とイランの「代理戦争」の様相も帯びる。イラク分裂の新たな火種となりかねず、タラバニ氏が「中央政府の承認なしに、米軍がクルド地域に駐留することはありえない」と述べるなど、火消しに躍起だ。

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