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河北春秋

 妊娠中毒症という病名は大半の人が知っている。では妊娠高血圧症候群はどうだろう。学会が3年前、後者に名称を変更した。この方が症状を端的に表現しているからだ▼古代ギリシャの医師ヒポクラテスが著書に記載しているほど、古くから妊娠中毒症はありふれた病気と言える。高血圧、むくみ、たんぱく尿の三つが主症状。問題なのが高血圧で、新名称もこのため

 ▼高血圧であれば脳内出血などの危険性も高い。妊娠中に定期健診が欠かせないのは適切な血圧管理などが必須だからだ。医師なら他科でも常識のはずだが、次のような釈明が聞かれたのには首をかしげる▼「脳内出血と分かっていれば受け入れていた」。たらい回しで妊婦が死亡した東京で、9月にも同様の出来事があったことが判明。釈明会見の席上、受け入れを拒んだ病院の医師がそう語っていた

 ▼医療の世界は役所と同じように縦割り。臓器ごとに専門が分かれるくらいだから各診療科の垣根が高いと言われる。関連する診療科のチーム医療なくして、妊婦の病気に適応することは困難だ▼「医学は確かに進歩した。しかし患者を受け入れる医療のレベルは施設を含めてまだまだ低い」。聖路加国際病院の日野原重明さんの著書に、そうある。うなずかざるを得ないのが何ともいら立たしい。

2008年11月07日金曜日


 


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