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民間救急車:利用進まず 有料がネック、低い認知度 /福島

 軽症者の搬送などで救急車の出動回数が増加する中、消防庁が全国で「民間救急車」制度を導入したが、県内の利用が進んでいない。タクシー会社など9業者が認定されているが、有料のため敬遠され、認知度も広がっていないのが現状だ。【今井美津子】

 05年に参入した「北福島タクシー」(福島市南矢野目、電話024・557・2210)では、従業員7人が「患者等搬送乗務員」の認定を受けている。専用ワゴン車を救急車とし、ストレッチャーやAED(自動体外式除細動器)、電動式吸引機などを搭載。神奈川県や千葉県など長距離の搬送もあるため、患者の急変時に備えたシミュレーションも実施しているが、利用は転院や退院など月に3回程度にとどまっている。

 全国民間救急サービス事業者連合会によると、料金はおおむね10キロで5000円程度。紺野勝寛社長は「病院にチラシを置いているが認知度は低い。料金は利用者の受け止め方で、高いとは思わないが」と話す。

 郡山市のあるタクシー会社では、高齢者の介護利用がほとんどで、民間救急車としての利用は月に1回程度。大型タクシー料金(初乗り640円)と介護料(3000円)がかかり、「一般の救急車なら無料で利用でき、有料がネックになっている」(同社)という。

 一方、県立医大付属病院(福島市光が丘)では月に30~40件の救急車による転院搬送があり、「民間救急車の利用は県外への転院以外はほとんどない」と話す。

 県消防保安課によると、消防署の救急車の出動件数は96年に約4万8000件だったが、06年は約7万件と10年間で50%近く急増した。福島市消防本部では今年1~8月の出動件数8884件のうち、転院での利用が799件と約1割を占めた。同消防本部の中村政一・消防救急センター所長補佐は「実際には容体が安定している場合でも、病院から出動要請があれば断れない」とし、「患者は料金負担を敬遠しがちだが、消防の救急車は税金がかかっている。転院は救急を要しない患者が多く、病院の意識変革も必要」と話した。

 民間救急車を実施している事業所は、各地の消防本部で問い合わせることができる。

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 ■ことば

 ◇民間救急車

 消防庁が89年、民間の事業者の活用のため導入した。国土交通省が認可した一般乗用旅客運送事業者が、自治体の消防本部から「患者等搬送事業者」の認定を受けて有料で実施する。消防本部の講習を修了した「患者等搬送乗務員」の認定者2人以上が乗車する。認定は事業所が5年に1度、乗務員は2年に1度更新する。緊急性がない患者を対象とし、赤色灯やサイレンはなく緊急走行はできない。

毎日新聞 2008年11月7日 地方版

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