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最終批評神話 / re=c

わかむらP、元長柾木インタビューなど掲載の話題騒然の批評同人誌『最終批評神話』、11月9日開催「文学フリマ」B-65にて発売!

2008-11-07

わかむらPインタビュー@文学フリマ詳細&未収録インタビュー先行公開

11:27 | このエントリーを含むブックマーク

 「第七回文フリマ(11月9日 於:東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第 2展示室)で頒布されるサークル最終批評神話(峰尾俊彦 村上裕一)による評論同人誌『最終批評神話』(詳細目次)に掲載されるわかむらPインタビュー「終わりなきニコマスの世界」の詳細をお伝えします。そしてなんと、同人誌に入りきらなかった未収録分のインタビューをブログで先行公開してしまいます(忙しい人は以下の文を飛ばして写真以降からどうぞ)。 

 わかむらP(マイリスト わかむらP MAD集‐ニコニコ動画(秋) ブログhttp://wakamura.livedoor.biz/)といえば、あの覆面艶村キャラのきっかけとなったニコニコ映画祭(前半 後半)、そして、アナザーカジュアルを着用したザ☆ネットスター!が記憶に新しいです。

 そして紙媒体では、最近発売された「MAD動画マニアックス」のインタビューがあります(ちなみにその中で、インタビューの他にも、初音ミクニコマスの紹介がなされていますが、そこを担当したのはあの有村悠さんid:y_arimです。僕も大いに参考にさせてもらいました)が、『最終批評神話』におけるインタビューは、初のロングインタビューです。

 そしてロングインタビューというだけあって、かなり深く掘り下げたインタビューになっています。とりあえず小見出しを羅列してみます。


■わかむらPの来歴と2ちゃんねるでの活動

■わかむらPのバックグラウンド

きしめんギアス

アイマスMAD職人としての出発

■「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」の衝撃

■「ソロコラボMAD」シリーズと「WAKAMURA RECYCLE」

Perfume新作&リメイクプロジェクト

765comm@nd以降の飛躍

■わかむらPのMAD作成の「環境」

ニコマスコミュニティの展開

アイマスMADの進化

■トカチゴールドの成功とニコニコ化するクラブ文化

■わかむらPの影響力

MAD的空間における「素材」としてのコンテンツ

■ニコニコ以後のクリエイターをとりまく環境

■ニコニコ/アイマスコミュニティの終焉/そして始まり

■終わりなきアイマスMADの世界

 このインタビュー、わかむらPの来歴や、MADの作成の裏話みたいなのも聞いているので、わかむらPファンにとっては大いに楽しめる内容になっていますが、以上の見出しをみればわかるように、それだけにはとどまりません。

「終わりなきニコマスの世界」というインタビューはわかむらP自身の話のみならず、同時に、わかむらPというニコ動における最強のMAD職人の1人を通して/共に、ニコニコ動画が猛威を振るっているこの世界において、起きているコンテンツやクリエイターや消費者がどのような変化をこうむっているのか、そしてどのような未来になるのか?というかなりデカい問題こそかなり語っています。その意味で、ニコマスに興味がある人のみならず、ニコ動一般、特にニコマスと平行してムーブメントを形成している、「初音ミク」や「東方」や「京アニ」にも関わってくるし(実際これらの話題はインタビュー中に出てきます)、また今の社会の環境というのがどうなっているのか、という普遍的な問題にも関わっています。

 東浩紀は2001年に出した『動物化するポストモダン』で、ポストモダン社会において、コンテンツはどのように生成するのか?という問いと、その中で人間はどうなってしまうのか?という問いを提起し、その問いから出発し、ポストモダンの社会像を素描しました。そして東浩紀が2001年時点で描いた社会像はニコニコ動画という場で徹底的に、東浩紀の描いた像をはるかに越えて実現しているといっていいでしょう。

 なので、このインタビューは東浩紀が提起した、コンテンツはどのように生成するのか?という問いと、その中で人間はどうなってしまうのか?という問いへ向かうための2008年時点での具体的で強力な手がかりの一つであり、2001年時点の想像力の限界を埋め合わせる機能を持っている重要な資料といえる。ニコマス現象という(メタ)コンテンツの発展と、わかむらPの特異なキャラクターと、そしてニコマスを消費する=生成する人々の姿を知ることができるこのインタビューは、僕の考えではそこまでの広い射程を持っています。というより実は、『最終批評神話』全体がこれらの問いをめぐっています。

動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

  • 作者: 東浩紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 新書

 そして、そのために、今回のインタビューではニコニコ動画の研究でおなじみで、初の単著アーキテクチャの生態系』を上梓した、情報環境学者の濱野智史氏にインタビュアーとして加わってもらいました。もちろん濱野さんとわかむらさんを会わせてみたいというミーハー心もあるのですが(笑)、やはり広い射程のインタビューにするためにもアーキテクチャとコンテンツの絡み合いをもっともガチで考えている濱野さんに加わってもらうしかないと思いました。おかげさまで、僕ら2人でやるよりも射程の広いインタビューになったと思います(ありがとうございます!)。

 濱野さんはまた、このインタビューの注釈的コラムも書いてくださっています。これまでのMADについての語りとは違った視点から、MADの論じていますのでぜひご一読ください。濱野さんの『アーキテクチャの思想』では、ニコマスは直接的には扱われていませんが、きっとこのインタビューは『アーキテクチャの生態系』の副読本として役立つとも思うので、ぜひあわせてお読みください。

アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか

アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか

 と、ここまで紹介をかいたところで、もしかしたらこのインタビューに関して不満を持つ人があるかもしれません。なんか批評っぽくないと。このインタビューは、基本的にジャーナリスティックなものとしてなされています(序文にもそう書いてあります)。そして、ジャーナリスティックなインタビューとしては自分で言うのもなんですが、かなりいい感じに仕上がっていると思います。いわゆる商業誌にはマネが出来ないというやつです。そしてそれをかなり早い段階でやったわけだし。しかし、こうなるとたんなるジャーナリズムであって批評ではないんじゃない?と言われそうです。

 しかし、僕はこのインタビューでニコ動について語ること、東浩紀風に言えば、二次創作MADのような物語抜きのメタコンテンツ(あるいは『ゲーム的リアリズムの誕生』の言葉で言えばコミュニケーション志向メディア。詳しくは「メタデータ」が主役のコンテンツ消費・人文系が語るネット(下) インターネット-最新ニュース:IT-PLUSを参照)を語ることが批評やら文学性やら全体性やらを語ることにはならない、というイデオロギー自体を変えたかったし、それをしているインタビューなのだということこそ言いたい。例えば濱野さんの『アーキテクチャの思想』の「恋空」論というのはその様なものだったはずです。コンテンツに垣間見える超越的ななにかを捕らえるためには、フラットなメタコンテンツを語らなければならない(僕がCGMやらUGCやらの議論に不満を感ずるのはこの点です。これらの話は、業界のヒエラルキー云々の話でなく、コンテンツの規則(誤解を招く言い方をするなら文学性の規則)の話にならなければなりません)。僕の「ニコマス入門のための四つのことば」という論文は、実はそのためのささやかな試みだったりします(あまりにもささやかですが)。

 ともあれ、このインタビューはジャーナリスティックにも、批評的にも決定的なものなので是非お読みください。

 さて、最初にアナウンスしましたが、このインタビューあまりにも長大になったため、残念ながら同人誌に入りきらない部分が出来てしまいました(27ページもあるのに!)。なのでここで、一部同人誌に載っているところも含まれますがその未公開分を体験版みたいな形で先行公開してしまいます!これを読んで興味がわいた人はぜひぜひ11月9日の文学フリマに足をお運びになってください。またあの美少女ゲームシナリオライター元長柾木インタビューなど他にも盛りだくさんですので、是非お買い求めください。

 なお評論同人誌『最終批評神話』は、講談社が主催する講談社BOX:東浩紀のゼロアカ道場の企画の一環として出されています。その性質上、大変大変申し訳ないのですが、11月9日の文学フリマの会場限定で、しかも1人1部のみという縛りで、販売することになっていますので、お求めになりたい方は、当日に会場に直接足を運んでお求めください。講談社によるイベントという性質上、通販の予定はありませんし、たのんで買ってもらうというのも一人一冊という縛りの関係上二冊以上買いたい時は2人以上で会場に来る以外に方法がありません。ご了承ください。

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わかむらPの2ちゃんねるでの活動について

峰尾

 今回はアイドルマスターMAD界のPの中でも、そのずば抜けた技術力でニコニコ動画のユーザーから圧倒的な支持(総再生数300万、総マイリスト数15万)を受けているわかむらPにインタビューをしたいと思います。まず簡単なプロフィールをお聞かせ願えませんか。

わかむら

 わかむらPとしてのプロフィールとしては、ニコニコ動画アイドルマスター、その前はアニメ系のMADアップロードしている、いわゆる「うp主」というやつで、ちょうどデビューから一年二ヶ月くらいになります。僕自身は、デザイナーアートディレクターということをやっています。

峰尾

 もとからクリエイター志望だったのでしょうか。

わかむら

 クリエイターとまでは思ってなかったのですが、映像を作る人と絵を描く人になりたかったですね。

峰尾

 ニコニコ動画でわかむらPとして活動する前にも、2ちゃんねるなどで、例えばかつて、2ちゃんで流行ったムネオハウスに関わったり、動画作品をつくったりと、今みたいなMAD職人のような活動をされていたとお聞きします。それはどのような流れでされてたんでしょうか?

わかむら

 まず2ちゃんねるの初期にコラ文化というのがあったんですね。それで、名無しでコラ職人といったらあれですが、映画のポスターみたいな感じに芸能人をあてはめるみたいなコラージュを作っていました。当時自分のパソコンとかに「Photoshop」とか「Illustrator」が入った人が少なかったというのもあって、そういうコラをやっていました。動画作りはそのときはまだ未経験でしたね。

ムネオハウスを知ったのは友達がこういうの好きそうだよね、と聞かせてくれたのがきっかけです。僕自身もともとテクノが好きなんだけど、ムネオハウスというのが面白いことになっているという話を聞いて、アップロードされている音源を実際聞いたら完成度高くてびっくりしたんです。それでお手伝いというか、なにか作ってみようかなと参加しました。

峰尾

 つまり、2ちゃんねるからアマチュアクリエイター活動がスタートしたと。今でたとえればVIPスレとかに絵を投下するみたいな感じですか。

わかむら

 そういう感じからスタートですね。

濱野

 周囲にはそういうことをやっていた人はいたんですか?

わかむら

 学生でありながら仕事でクラブイベントフライヤーを作っている、みたいなひとはいましたね。ただ、周りに2ちゃんねるでやる人はいなかったような気がします。ただ友達は、僕がすごい2ちゃんねらーだということは知っていましたね。当時は今より2ちゃんねるに対する風当たりは悪かったと思いますし。

村上

 2000年から2001年くらいですか。

わかむら

 そうですね。本当に掃き溜めのようなイメージが強かったので(笑)

村上

 犯罪の温床みたいな(笑)

アニメと小説について

濱野

 ちょっと唐突なんですが、新海誠さんとかどうですか?新海さんは、ご存知のとおり「ほしのこえ」(2002年)というアニメをほとんど一人で作成されたことで一躍有名になった方ですが、その以前には日本ファルコムでゲームのOPムービーなんかもつくられていたことで知られています。新海さんの映像製作手法というのは、まず、キャラなり背景なり、なんらかの映像素材なりがPCの中にあって、それをまさにMADさながらに編集してつくりあげていくというものだったというんですが。

わかむら

 作っているものは好きですが、あんまり憧れるという感じはないです。あんまりアニメ業界で仕事するということは考えたことがないので。

峰尾

 わかむらさんと新海は対照的でわかむらさんは無機質だけど新海は叙情的な感じですね。

わかむら

 もっと実写的な方向に僕は寄りたいですね。

村上

 では、たまたま今3Dとか扱われていますけど、もしかしたら人間とか使ってとか。

わかむら

 実際に作っているわけじゃないんだけど、ニコニコモンズで、avexの歌手のPVを作ろう!っていう公式プロジェクトがあって、グリーンバックで素材がアップロードされているんですが、そういうのも暇があればやりたかったですね。

峰尾

 ちょっと新海誠の話を続けますが、「秒速5センチメートル」の第3話はごらんになりましたか。

わかむら

 僕は秒速はちょこっとだけみたんだけど、詳しくは見てません・・・。

峰尾

 秒速の第3話が初恋の人との失恋を受け入れるという結構重要な場面なんですが、それが山崎まさよしPVという形で表現されているんですよね。

濱野

 そう、だからまさにMADムービー的なんですよね。既存の楽曲にアニメ画をあわせていくという意味で。だから変な話、新海さんの作品は、主題歌と映像が緊密に結びついているという点で、予告編が一番面白いんじゃないかという話もあるほどです(笑)。そう思ってしまうのは、MADムービーのように新海作品を僕たちが受け取ってしまうからですね。

ちなみに、東浩紀さんが出されている『コンテンツの思想―マンガ・アニメ・ライトノベル』という本のなかの鼎談で、新海さんは「ほしのこえ」を作るときに、絵コンテを書かないで作っていたという話をされています。

峰尾

 タイムラインもないんですよね。

濱野

 その鼎談では、西島大介さんがその点をずばり指摘されているのですが、アニメなのに絵コンテがないというのは驚くべきことだというわけです。普通だったら、アニメの製作プロセスというのは、まず脚本があって絵コンテがあって原画があって……という形で進んでいく。つまり、アニメというのは大勢の人が分業をして、しかも流れ作業的につくっていくので、まずは絵コンテをタイムラインつきでつくって、全体の絵の配分を確定させないと、その後の製作工程が進んでいかない。

でも、新海さんはすべて一人でやるのでコンテがいらないわけです。おそらくそこでは、まずBGMなり主題歌なりの音の連続したイメージがあって、そのテンションにあわせてイメージをつくっていく。で、その鼎談で新海さんは、もともと新海さんはゲームのムービーをつくられていたので、そこでは映像をつくるよりも先にゲームの絵素材と主題歌だけが決まっているんだ、とおっしゃっています。だから、音楽にあわせて自分のタイミングでスパッと気持ちいい映像を作ろうということになる。

 でも、さすがに今は映画を作られているので、絵コンテを切られている。でも、そうなると僕なんかは正直あまり面白くなくなってしまうというか、見ていてもテンションが持たないんですよ。もう、絵コンテなんていいから、シンクロの気持ちよさだけでつくってくれ!!!とか思うんですが(笑)。

わかむら

 気持ちよさだけで二時間は作れないですね(笑)

濱野

 たしかに(笑)

峰尾

 僕は好きなんですよね。第3話。アニメ好きの人はアニメじゃなくてPVじゃんとか言って評価しないんですけど。

わかむら

 あれは「One more time, One more chance」ですよね。それは見ましたよ。

峰尾

 MADという形で、シリアスな失恋の場面を描くという作品はあんまないかなーと…

わかむら

 僕は新海さんの作っているものに、あまり興味を惹かれないんですよね。なぜだかわからないんですけど・・・。

峰尾

 それでは、好きなアニメとかどうですか?

わかむら

 アニメ自体をそんなに見る人じゃないんです。ただ絵描きさんで好きな人がいて、木村貴宏さんと千羽由利子さんですね。この二人がタッグを組んだアニメということで、コードギアスは見ていました。

峰尾

 ということはアニメを見る動機も好きなクリエイターがいるかいないかという感じでしょうか。

わかむら

 そうですね。アニメは好きな人がやってればみるという感じです。

峰尾

 原作からは入らないと。

わかむら

 最近のアニメの原作って、だいたい見たことなかったりするんです。僕はそういう方面に明るくないので(笑)。他の動機で見て、結果的に物語が面白いと思ったりはしますけど。

村上

 動画上のデザインの感覚と静止画のデザインの感覚は違うと思うんですけど、例えばキムタカと千羽さんを好きな理由というのはあるんですか。ここがいいよねみたいな。

わかむら

 千羽さんは色気です。色気のある絵が好きなので。線がとても繊細なところも好き。表情を作るのがとても巧い方ですね。木村さんは、エロゲの原画を書いたりもする人なんだけど、肉感的な女の子の絵を描くのが得意で、それがイイなと。画集とかも買っています。ガオガイガーも好きですね。話がそれましたが。

峰尾

 いえいえ、それてませんよ(笑)

わかむら

 あんまりアニメに興味がないんですよ。

峰尾

 では小説とかも…

わかむら

 ラノベとか全然読まないですね。友達から勧められたラノベは読んだりすることあるし、それで「ゼロの使い魔」は最新巻まで読んだんですけど、見た時に話の展開がすごい王道だけど、至るところにキャッチーな要素が詰め込まれていて、商業的に成功しそうな作品だなとみてしまっちゃって、どうしても商業的なディレクション側の意見を読み取りたくなってしまうんで、なんか現実的に見るとつまんないんですよ、どれを見ても。

峰尾

 編集者視点というかすべてがMAD視点という感じ(笑)

わかむら

 みなさんでもそうかもしれないけれど、業界にいるとそうなっちゃうんですよね。どうしても電車の広告とかも見てしまうと、職業柄、まず一番最初に見るものが誤字のチェック。

一同

(笑)

わかむら

 印刷のズレをみて紙質を見て、インク量を見て。これいくらくらいかかるかな?ってお金の計算をはじめて。

村上

 (笑)

わかむら

 これうちだったらいくらで作るんだろう、と考えてしまうんですね。結果的に、純粋に楽しめないんですね。

村上

 職業病ですね(笑)

わかむら

 そうです(笑)

わかむらPの技法について

峰尾

 わかむらさんの非常に特徴的な技法として、アイドルが踊っている姿をフレームごとに抜き取って、それを別の背景に合成させる、いわゆる「抜き」と、アイマスの素材を加工してキャッチーな静止画にしてそれを音楽のリズムに合わせて並べるという主に二つの技法があると思うのですがそこらへんはどうでしょう。(画像は抜きの一例。http://zoome.jp/wakamura/diary/11/より引用)

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わかむら

 もともと切り抜きをメインでやろうとは思っていませんでした。だけど、他のMADとの差別化をはかるために背景を変えたほうが、アイマスを知らないニコニコのユーザーにも「編集」が入ってるんだということが解りやすいだろう、という理論でやりました。手は早い方なので、そんなに長くなければ一日二日でかなりの枚数抜けると思ったんで、やってもいいかなと。それとアイマスはもともとライブシーンっぽいので、PVっぽくしたかったというのもあります。

峰尾

 静止画カットに関しては。(画像は静止がカットの一例。同じくhttp://zoome.jp/wakamura/diary/11/より引用)

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わかむら

 静止画カットは本当だったら、動かせたらよかったのですが、動かすにはかなりの枚数を切らなければならなかったのと、もともとダンスをしているんであって日常風景のシーンの動作ではないんですよね。それで、日常風景にするにはかなりポーズを捏造しなければいけなくて、それを動かすとなるとアニメの作画になってしまうので、それは大変だから、苦肉の策で静止画カットにしました。これはエロゲのOPっぽいですね。


「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」について

峰尾

 「LOVE EXE」の後、しーなPのアイドルマスター KOTOKO Princess Bride!‐ニコニコ動画(秋)と並んでアイマスMADを世に知らしめた、アイマスMAD全体の中でも代表作ともいえる第二作目の「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」を出され超メガヒット(削除済み動画を足して約87万再生)となったわけですが。

D

D

わかむら

 アイマスMADをつくるためにアイマスを買ったわけで、こりゃなんとかヒット作を出さないとな、と思っていました。「LOVE.EXE」を作ったのが、「きしめんギアス」の作者であることは知られていましたし、あれを作ったやつもアイマスMADではこんなもんなのか、みたいに言われたのが癪に障ったので、翌日HDキャプチャを買いに行きました(笑)

一同

 (笑)

わかむら

 「LOVE.EXE」から「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」まで一週間くらいしか空いてないんですが、あれはHDキャプチャで作った、初めてのMAD。つまり動作検証というか、試験的に動画を作ってたんです。アイマス自体もこの時点でトリオを組めるようになったばかりだったし。だから「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」もみんなをアッと言わせようとまでは思ってなくて、ヒット作はその次とかさらに次辺りで出せれば良いな、と思っていて。

 もともとPerfumeが好きでちょうど一年前にPerfumeのライブにいったんですよ。新宿LPOでやっていたんですがそれが「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」のライブ初披露だったんです。それを聞いてこれは絶対将来動画にしたいと思ったんです。あの当時ってPerfumeって解散目前のような状態で。次に出るシングルはiTunes限定になったり。そんな「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」は中田ヤスタカさんからの餞別ソングともファンからは言われてました。そんなPerfume側の思い入れもあって、あの曲は僕にとって印象深い曲です。

依存症」と765comm@nd以降のMADについて

わかむら

 僕の中では765comm@ndよりもこの「依存症」というMADがブレイクスルーで。アイマスMADは編集でまだまだぜんぜんいけると確信したのが「依存症」なんですよ。ここから先は、僕のMADから公式の背景がほとんど出てこないんです。ライブっぽさ排除して完全にPVにしてしまえばいいと思ったので。

D

村上

 そのMADを見たんですが物語性がありましたね。

わかむら

 さっきからクラブ系が好きと言いながら、椎名林檎の曲が好きだったりするんですが、僕はあの方の歌詞の世界が好きで、MADではその世界を律っちゃんに落とし込んで、毎回表現してるんですよ。「歌舞伎町の女王」もそうだし、「ブラックアウト」もそうで、その系譜を継いでるんですよね。だからこそ、律っちゃんのPVは僕の中では異質で毎回例外的にストーリーがあって、クラブミュージックっぽくないのでリサイクルには入らないという。

D

D

村上

 レアなわけですね。

峰尾

 とにかく「依存症」がわかむらさんにとってのブレイクスルーであると。

わかむら

 だから時期がけっこう開いていたんです。「WAKAMURA RECYCLE VOL.02」から一ヶ月くらい。この間は試行錯誤の時期なんです。

D

峰尾

 依存症は本当にすごかったですね。律っちゃんがかわいすぎた(笑)

わかむら

 765comm@ndが出た時の話は、まずPerfumeの「シークレットシークレット」を作りました。あの曲はもともと「RECYCLE VOL.02」の一番最後に二分間のシークレットトラックをつけるために作りはじめたんですが、出来た映像が「ポリリズム」とそっくりになってしまったのと、18分を超える動画をニコニコの制限でエンコードしたら画質がかなり悪くなったので、けっきょく未公開になっていたんです。

いつかは単品でアップロードしようと思ってはいたんだけど、「依存症」を出したあとになったので、「依存症」よりクオリティが低いのを今さら出してもなぁ、みたいなところがあって、ずっと出し控えをしてました。

どこかで陽の目を見たらいいなと思っていたら、765comm@ndが出て。そこで動画を再構築して作り直したのが今ある「シークレットシークレット」です。

D

峰尾

 それ以降の「Wow」、「SUPER MUSIC M@KER」、「Where to begin」の三作はなんというかヤバイというかものすごい飛躍してる感じがするんですが。一体全体的にどうなっているんでしょうか(笑)

わかむら

 このあたりから本物のミュージックビデオと同じ作り方になってきているからですね。765comm@ndだと、全身を完全に抽出できますから。それと、カイリー(カイリー・ミノーグ)は一時期ハウスミュージックばかりやっている時期があって、そのときの彼女がすごい好きなので、その曲でミシェル・ゴンドリー的なものを作りたいと思ったのが「Wow」ですね。

D

峰尾

 以前のMADPerfume新作&リメイクプロジェクトでは特にそうですけどでは、切り抜いたダンスを背景にぺたっと貼り付ける感じで作られていると思うんですが、Wow以降というのは2Dの重ねあわせではなく、キャラが3Dとして自立して、ステージの立体感を強調する方向になっていると思うんですけれども。

わかむら

 ここから作り方が大きく変わってて、実は「依存症」もそうなんですけど、「After Effects」で3D空間を構築しているからです。今までは平面的に動画を重ねていただけなんですけど、全身を切り抜ける今なら、こういった作り方の方が表現の幅が広がりますので。カメラも動かせますし。


峰尾

 影の拡大縮小で立体感が出てますよね。

わかむら

 あれは、ライトを照らして、ライトが勝手に影を作ってくれてるのでそんなに手間はかかってないです。


峰尾

 After Effectsにそういう機能があるんですか。

わかむら

 アイマスのダンスは足元が一定じゃないのでそれは常に合わせ続けるという手間はかかるんだけれど影は勝手に作ってくれます。

峰尾

 765comm@nd以降、アイマスの素材としてのポテンシャルがガーっとあがってるような感じがします。

わかむら

 最近自分が当初やりたかったことができてるな、と思って精力的にやってますね。

峰尾

 SUPER MUSIC M@KERは踊っている人数も増えています。

わかむら

 五人。さっきavexPVの話がでましたけど、avexのシンガーって後ろに謎のダンサーがいるじゃないですか。ああいうのがやりたくて、それで後ろにおいてます(笑)。あと、この曲、自体すごく作りたくて。中田ヤスタカさんの曲ではPSPS(Perfumeの「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」)の次くらいに好きだったので。

D

峰尾

 春香もかわいいですよね。見ている人にとっては「Wow」が来て、「SUPER MUSIC M@KER」がきて、いったいわかむらPに限界はないのか!という感じがするんですが(笑)

わかむら

ただ、そのあたりからクオリティがぐーっと上がったというか、上げたつもりはなかったんだけど765comm@ndを使うことによって、意図せず上がったというか。

峰尾

 素材のポテンシャルがあがったのでこちらも、と。

わかむら

実はやっていることの幅は以前と変わらず狭いままなんですが、見た目の印象や構成を工夫して、なるべく見る人を飽きさせないようにしています。

峰尾

 そして現時点での最新作のTRFの「Where to begin」はカメラもぐりぐり動いています(インタビュー時9月13日時点)。

D

わかむら

 あれは実写っぽくしていますね。

濱野

 台湾中国が舞台という感じですか?

わかむら

 そういうイメージですね。TRFPVも海外でロケしてて勝手にアジアっぽい印象かなと思ったんだけどYoutubeでこないだ見たらまったく違いました(笑)。意図せずオリジナルになってしまいましたね。

動画作成期間について

村上

 動画を作るのに一日かからないとおっしゃっていましたが、動画を作るテンションというのはどれくらいもつのですか?

わかむら

 飽きっぽいのでそんなに保たないんですよね。一本に対して数日くらい。

 どんな映像にしたいかというのは、平日のランチの最中に1人になれる時間をつくって、そこでコンテやタイムラインをノートに書いておいて。その段階で、頭の中でビジュアルを完成させてしまうので、その時点からどんどん飽きてきます(笑)。他の人が見たら、何でこの人iPod聞きながら一人で何か書きまくってるんだろうみたいな感じです(笑)。

村上

 最長でどのくらいかかるんですか。

わかむら

 一番長くかかったのは「シネ☆MAD」シリーズの「Real Life Real Heart」のOPです。アニメのOPみたいにしたかったので素材もカットも多く必要でした。あれがだいたい三日くらいですね。

D

峰尾

 三日ですか…

村上

 クスリでも打ってるんですか、みたいな(笑)

わかむら

 普通に寝てますよ(笑)

ニコマスのP達について

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峰尾

 ちょっと今までの流れ的にズレてる感じですけど、好きなMADやPはどうでしょうか。

わかむら

 好きなのというかよく見ていたのはあったんですけど……だんだん本人と普通に友達になってしまって、好きっていうのを素直に言いたくない感じですが(笑)、編集系の方向だとしーなPが好きでよく見てますよ。

 あと同業者だなあって思うのがメイP。この人は使ってるフォントモリサワなので、おそらく業界の方。「新ゴ」、「太ゴ」、「ゴシックMB」とか普通の人が使うもんじゃないと思って。

D

D

峰尾

 そういうところにまでチェックが行き届いているんですか!

わかむら

 レイアウトとかも洗練されているんです。ポスターとか広告とかやったことあるんじゃないかなあ。まあ、ある意味ライバルなのかもしれない。

村上

 同じような思想で作っているからですか。

わかむら

 そう。思想も似てると思う。ライバルっていうか仲間意識的なものかもしれない。

峰尾

 俺と同じ匂いがするぜって感じですかね。

わかむら

そうそう。で、好きなMADは好きなPにも関わるんだけど、そるPって人がいてね。踊っているんですよ、土手で。彼の「Do-dai」とかノーマルPVのカメラ割とか動きとか視点移動とかを完全に再現していて、しかもすっごい笑顔なんですよね。

 あとは、プリキュア5にひとり混ぜてみたってやつが好きです。パピヨンが混ざってるの。たまにアニメMADも見るんですよ。

D

D

峰尾

 自分はやらないけど、こういう方法論で作っているから好き、っていうのはありますか。

わかむら

 「NovelsM@ster」っていうジャンルがあって、かつてはアイマスのキャラスレとかでSSとして投下されていたであろうものが、動画になって上がっているんですよね。もし動画じゃなかったらあんなに感想もらえないと思うんだけど。動画ならコメントもらえるし、モチベーションもあがるんだろうなぁ。このジャンルは僕も見ているし、好きですね。以前一緒にやらせてもらった陽一Pはやる前から好きだったし。架空戦記の方は好きなシリーズだけは見てます。

D

峰尾

 あれは見るのに体力いりますからね。

わかむら

 体力いりますね。最近は忙しいから……。潜伏してた「依存症」とかのときにはたくさん見てた(笑)

艶村現象について

峰尾

 覆面艶村現象(覆面艶村とは (フクメンアデムラとは) - ニコニコ大百科)について……(笑)

わかむら

 これはね、僕も全容を理解してないからね(笑)。

 なんか覆面艶村がすごく好きって人がいるみたいだけど、覆面キャラで売るつもりは全く無かったです。ニコニコ映画祭で「顔を隠すものはこちらで用意します」って言われたので「馬ヅラとか持っていかなくていいんですか」って聞いたら「そこまでいくと顔が見えないので困ります」と。それで何パターンか出されたんですよ。アクリルのマスクとか鼻メガネとか。アクリルのマスクなんて半透明だからほとんど顔が見えるし、鼻メガネなんてもともとぜんぜん隠れてない(笑)。いちばん顔が隠れるものがあれだったんです。

濱野

 ああ、そうだったんですね(笑)

峰尾

 あれでメンズナックルの体とくっつけられて、なんか変に踊らされたり、クリーチャーにもなってましたもんね。

D

わかむら

 そうそう(笑)あれくらいやってもらえると、むしろオイシイかな?(笑)

峰尾 

鈴木宗男みたいになってしまったわけですね(笑)

わかむら

 まさか僕が素材になるとは(笑)

ニコマスと市場と世代について

わかむら

 MADに関してはバンナムさんも黙認っていうスタンスなんでしょうかね。

濱野

 完全にそうですよね。まあ変な話、黙認したほうがビジネス的にもよかったりするわけですし。

峰尾

 むしろ黙認を強いられる感じがどんどんしてますね。

村上

 お金を払いながらみんなMADを作ってるという。

わかむら

 ニコマスってみんな年齢がけっこういってることもあって、なんか財布に入っている金がやけに多いんだよね(笑)。このあいだも友達に、「このエフェクトって何」って聞かれて、「それはこのプラグインを使ってるんだよ」って言ったら、「あ、そうなんだ」って言って、一時間後には「買ったけどシリアルがまだ届かない」っていうメッセージが来た。お前早いよ、躊躇しろよ少しは(笑)

峰尾

 財布もってる人がアイマスに結集してしまったのでしょうかね。

わかむら

 P本人に会ったりした結果・・・独身男性30前後が多いんです。だから、みんな自由になるお金があるんですよ。

濱野

 どうしても余らざるを得ないですよね(笑)。

村上

 本当だったら余ってるとまずいお金のような気もしますが、みんなアイマスに馴致されていっているんですね。本当のアイドルに貢いでいる感じだ。本当はアイドルを調教しているはずだったのに……。

わかむら

 買い支えてる(笑)。調教しているつもりが実際は調教されているという。

村上

 いやこれみんな幸せですね。見てる方も幸せだし……

わかむら

 そうそう、ナムコさんも幸せだし、アイマスプロジェクトが長続きしてくれるとファンも幸せだよね。

峰尾

 その辺は東方と本当に似てますよね。東方はもっとキてて、基本的に楽曲は無断転載されてるんですけど、それで回っている。

村上

 強いていえば、音楽を出しているところだけは自分たちに直接的な利益が入ってこないんですかね。どうしても間接的な形でしか貢献できない。例えばその曲を使うことによってそれが入っているCDが売れるかっていうと、みんながみんなそういうわけではない。ニコニコ市場がその辺りでどう機能しているのか気になりますね。

わかむら

 まあ気になる部分もあるね。でもアイマス界隈はやけに購買力が強くて、ぶっちゃけCD丸上げなんていうのもあるんだろうに、CDが1000枚以上ポーンと売れたりしますからね。

村上

 リアルな話ですけど、アイマスライブとかもチケットがすごい高騰してるのにみんな買いますもんね。

わかむら

 SS席が7万8千円とかになってたよね。僕も結局ロッピーに買いに行ったんだけど売り切れてしまって。10時に発売されるっていうんで9時50分ちょいに店頭に行って。ロッピーを操作したらまだ受付時間外だと言われて。で、今度はタイミングを測って再操作したら「現在通信が混み合っています」と言われて、もう一回やったら「売り切れました」ってなってました(笑)。1分も経たずに売り切れたらしいですね。

 リアルでお金を出す人が多いから続いているところもあるのかもしれない。

峰尾

 Pの年齢層ってどんな感じなんですかね。

わかむら

 一番若い世代だと中学生のPがいるみたいです。一方で50代、60代のPがいるっていう話も聞きました。

峰尾

 アイドル文化が凝縮されている感じですね。

村上

 アイマスも門戸が広くなったっていうか、もはや通貨みたいになってますね。

わかむら

 みんなの共通言語だからね。60代の人の作品も見ているのは10代20代で、結構伸びたりするんです。キャラクターが一緒っていうフィルターごしに見れば年齢層とかは関係なくなっちゃう。そういう広がり方をしていると思うんだけど、4万も動画があればそうなりますよね。

村上

 ニコニコ動画自体、確か日本中のトラフィックの結構な量を占めてましたよね。

濱野

 たしか一年前で約10分の1とかそれくらいの数字でしたから、今はもっと増えてると思いますよ。

ニコニコ動画と日本文化について

濱野

 僕の考えだと、Youtubeというのは、まだMAD作品を単にアップして公開するための場所で、うp主同士が互いの作品をMADの素材にして、さらに別のMADをつくっていくという流れはあまり見られなかったように思うんです。

わかむら

 だって作者同士のコミュニティなんてないですからね。

濱野

 ないですよね。ポンと面白い動画があって、それは毎日毎週毎月面白いものがどんどん上がってくるわけですが、二次創作的なものが連鎖していくという感じではない。

わかむら

 そうですね。それから自分が作り手として明らかにYoutubeのときよりもモチベーションが凄い上がっています。

濱野

 ですよね。僕なんかは、なぜ外国の人はニコ動みたいなものを作らないんだろうって思うんですよ。

わかむら

 コメントとかたまにつけているらしいですけど、ちょっとニコニコ的ものではないみたいですね。

峰尾

 中国の「AcFun.cn」とかはどうなんですか。

濱野

 中国のは丸パクりなので、まあ……(笑)ニコ動のようなものというよりは、ザ・ニコ動そのもの(笑)。

峰尾

 結構コメントとか盛り上がってますよね。

濱野

 結構読めるんだよね、漢字だから(笑)。これなんとなく「萌え」って言ってるんだな、みたいなことが分かったりして面白いんですけど。

峰尾

 ということは、アジア限定かもしれませんね。

わかむら

 多分、英語だと意味を理解するのに文を読まないといけないので、ちょっと文字数が多くなってしまうというのがあるので。言語的な問題もありそうですね。

濱野

 その問題は絶対大きいと思いますね。そもそも、日本語の漢字っというもの自体が象形文字だから「絵」のような機能を持っていて、だから海外の人は「漢字Tシャツ」とか喜んだりできる。つまり、漢字はそれ自体がグラフィックとして機能してしまう。だから、映像の上に漢字が混じって表示されても、そんなに気にならないのかもしれない。

わかむら

 漢字って一文字で沢山の意味があるので、記号的に意味を理解できますからね。日本人は交通標識を一瞬で見分けることができるらしいですが、流れるコメント、ということにも向いてる民族なんでしょうね。

濱野

 アイコン性が強いわけですよね。

わかむら

 そうそう。

村上

 「ふぅ…」って言っただけでみんな大騒ぎですもんね。

わかむら

 まあそうですね(笑)

濱野

 ああいうのって、確かに英語でどう表現したらいいのかって思いますね。日本語という言語それ自体がニコ動的なものと親和性があって、どうしても言葉の壁を越えられない。

峰尾

 日本文化というのは、ニコ動のようなある種の飛び道具に行くしかないのか(笑)

わかむら

 国民性っていうところまでいっていいのか分からないけど、オタク文化は日本のビッグコンテンツになってしまったでしょうね。不況なのに伸びてきましたから。

村上

 パロディ文化が根強いのとも関係しているんでしょうね。

わかむら

 もともと昔から同人業界というものがあったわけですし。

村上

 日本人の妄想は天井知らずみたいな。

峰尾

 日本に限らないニコ動比較文化論みたいなのが必要かもしれません。

今後の展開について

濱野

 今後の展開はどのような感じですか。

わかむら

 今後の活動は、具体的なものを先にいうと、今月と来月にちょこちょこ自分でもMADを作りつつ、「ニコマスメドレー 〜2008 秋の祭典〜」という大規模合作がまたあります。半年くらい前に「春の祭典」というのがあって、その第二弾です。

 昔ニコマス系のスレッドで、奴らが常に引退せず居続けるから新しいやつが伸びてこないんだ、みたいなことを言われたんで、じゃあ俺達は自分で「老害」と名乗ろうと。参加者もデビューが初期の人が多いので。

 で、今回その秋バージョンみたいなものをやります。本当はあれ一回で終わる予定だったんだけれども、またやりたいってことになって。

D

村上

 いやあ、それは凄いけど変なイメージを喚起させるかもしれませんね。この辺でニコマスも一区切りかな、みたいな。

わかむら

 まあ一区切りといいつつも、過去の作品のリメイクだから、非常にこう内向的なんですよね。でかい花火打ち上げるとか言っておきながら過去しか見てないという点で非常に老害らしい(笑)

 それから先は秘密ですが、かなりハイペースで作らないとまずいスケジュールになってます。11月は数本出す予定です。

村上

 そういうものだと、説明されてよく分かっているはずなんですが、こうも仕事のようにスケジューリングが形成されていると……(笑)

わかむら

 一応スケジュールは組んでいるんですが、だいたい向こう三ヶ月のことしか決めないですし。イベントに新作を出してほしいとか依頼されることも多いので、スケジュールはずらしたりしますよ。

濱野

 いやはや、しかし今日は何度もお話に出てきたわけですが、わかむらPの工程管理ぶりというか、スケジュール管理の徹底ぶりはすさまじいですよね。「3か月先のことはやらないことにした」とおっしゃいますけど、普通は3か月先まで予定を決めているということ自体が衝撃的ですから。

わかむら

 プライベートの用事で、ずらしたりもしますけどね(笑)

濱野

 もうそうなると、昼夜で二人分社会人をやっているようなものですよね。凄いことになっている(笑)。

村上

 わかむら複数人説が流れるのも無理はないですよね。

わかむら

 そんなこと最初言われてましたね。最近言われなくなりましたけど。昔はわかむらプロダクションとも言われてた(笑)。そんなプロダクションなんて成り立つわけじゃないじゃないですか! 利益ないのに。

村上

 でもプロダクションっていいですよね。765プロというのもあるわけだし、尊称じゃないですか。プロデューサーではなく、プロダクション。

わかむら

 イメージ的にはプロダクションみたいな感じで作ってますけどね。基本僕の仕事はいつもアイドルのプロデューサーから外注が来たっていう感じなので。

村上

 今の流れを見ると明らかにマネージメントですよね。予定を調整するとか、オリコン対策でCDのリリース日を金曜じゃなくて木曜にするみたいな感じで。

わかむら

 そうそう。普通のアーチストの戦略でもありますよね。この週はB'zが出るからダメ、ジャニーズが来たから逃げろ、と(笑)

村上

 そういう面白さまで理解してわかむらMADを見ている人は少ないような気がするんですよ。聞いてみるとめちゃくちゃ面白い。

わかむら

 僕はそこで楽しんでるところもあって、マネーゲームじゃないんだけど。色んな意味でみんなをサプライズさせてみたいし、常に同じことばかりやっていてもつまらない。シリーズ的な連作だってやってみたいし。そういう僕の中の仮想プロダクションを楽しんでいる部分があります。

村上

 ちょっと思ったんですけれど、アイドルマスターというゲームを現実に拡張している感じじゃないですか。

わかむら

 ある意味そうなのかもしれませんね。明確なストーリーづけがあるわけじゃないんですけれど。

峰尾

 ニコマスっていうのはそういうのを全面に出してきてますよね。

村上

 ニコニコ現実の象徴みたいですね。

続きは文学フリマにて!

「第七回文フリマ

開催日 2008年11月 9日(日)

時間 開場11:00〜終了16:00

開催概要 ・文学作品の展示即売会

・出店サークル数 150以上

・入場無料

・サークルカタログ無料配布(数に限りがあります)

・立ち読みコーナーあり

・第七回文フリマ内で「講談社BOX 東浩紀ゼロアカ道場 第四回関門」が実施されます

会場 東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第 2展示室

JR線・東京メトロ日比谷線 秋葉原駅徒歩 1分、都営地下鉄新宿線 岩本町駅徒歩 5分)