私を含む東京に住む者の多くの人たちが、いずれ東京には地震が来るだろうと思っていますが、それで自分がやられるとは思っていない。いずれ原発の事故が起きるかも知れないと恐れている人もわが身にチェルノブイリのようなことがふりかかるとは思わない。人間というのは自分だけが別だと思いたがる生き物であります。
私たちの番組「がんを生きぬく」というシリーズで、これまでと違う角度からがんを取り上げ、掘り下げ、たくさんの反響をいただきました。それをお伝えする私自身は年不相応に元気で、国の内外を飛び回っていたこともありまして、自分はがんにならない人間だという根拠のない自信を持っておりました。
ところが先週、春休みの検査入院をしましたところ、初期の肺がんだということがわかりました。「私はがんです」と告白するのは一昔前なら相当な勇気がいったかも知れませんが、シリーズでお伝えしてきたように、国民の2人に1人はがんにかかり、そしてやっかいな病でありますが、勝てない病ではありません。
私たちの番組は、これまでもいろんなことに挑んでまいりました。今も世界的テーマとしての地球環境の問題。この国にとって大事な憲法の問題。そして一人一人にとって大事ながんというのをテーマとしてきたわけでありますけれども、私は個人的にこの最後のテーマに取り組まざるを得ないということになりました。ただ症状は十分に克服できるということでありまして、しばらく治療に専念したいと思います。がんに打ち勝ってまた戻ってまいります。
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