■名門大学にも汚染広がる・・・ |
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【関西大学の学生は・・・】
「薬物のイメージがついたら、同じ学校の生徒として嫌やなと・・・」
「関大の名が汚れてしまうのは残念」
120年の歴史を誇る名門大学で起きた、大麻密売事件。学長が即日会見を開くなど、大学に大きな衝撃を与えた。
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関西大学では、薬物事件が相次いでいる。
2年前には、ドラッグを飲んだ男子学生が転落死。去年も、大麻所持で学生が逮捕された。
【関西大学 河田悌一学長 5月8日の会見より】
「前回の事件を教訓にしながら、事件が起こらないように対策を講じ、かつ、啓蒙活動もやってきた」
(Q.薬物事件が相次いでいる原因は?)
「うちの大学が特に多いとは思っておりません」
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だが、今回逮捕された工学部4年の市川聖容疑者の供述は、深い闇を浮き彫りにした。
『学校内で、同級生とか40人くらいに売った』
大麻の使用を5年前に始めたという市川容疑者。3年ほど前からは、携帯電話で連絡を取り、大学の構内で同級生や後輩に大麻を販売していたという。
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『警察が来ないから、大学を密売場所に選んだ』
密売は夜中にも及び、「市民に開かれた大学」という理念が逆手に取られた。夜間にスケートボードを持って現れる市川容疑者の姿は、他の学生らに度々目撃されていた。
【関西大学の学生は・・・】
「夜ですね。7〜9時・・・」
「めっちゃスケボーが上手い人で、結構見たことある」
7年目でようやく4年生に進級。
4月に配属された研究室には、2回しか顔を見せていなかった。
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なぜ、彼は大麻に手を染めるようになったのか?取材班は、市川容疑者が高校時代を過ごした広島県福山市に向かった。
【市川容疑者を知る人は・・・】
「すごく真面目な子でした。あまり喋るような感じの子ではなかった」
地元で高校時代からスケボーの腕を磨いていた市川容疑者。地味な印象の彼が、大学入学後、少しずつ変わっていったという。
【市川容疑者を知る人は・・・】
「大阪に行ってから、帰省の時に会うと『よく喋るようになったなぁ』と。雰囲気が変わりました。(大麻は)意外だと思います。そういう印象が全然なかったので・・・」
変わっていった市川容疑者。
5年前にインターネットで大麻を購入し始めたが、大量に手に入る仕入先を求め、あの街へ向かった・・・。
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大阪・ミナミのアメリカ村。
市川容疑者は、この街で大麻を仕入れていたと供述している。取材班が接触した大麻の元売人は、街の実情をこう話す。
【元売人は・・・】
(Q.アメリカ村で大麻を手に入れることは可能?)
「行ったからといって、いきなり買えるかは難しい。ただ、どこかに接点はあったり、必ず糸口がある」
実際に、街の若者からも薬物に関する話を聞くことができた。
記者「大麻やったことあります?」
男性「昔はあります」
記者「どんな感じ?」
男性「5センチくらい空を飛ぶ!」
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取材班は、雑居ビルの一室に不思議な店を見つけた。薄暗い店内の商品ケースには、植物を育てる為のプランターや、特殊な肥料が並ぶ。
別の店では「タバコ用」と称し、大麻の吸引に必要なグッズが平然と販売されていた。だが、それら自体は違法なものではない。
【アメリカ村の若者は・・・】
「栽培しとった。知り合いが・・・でも、タバコよりは害がないじゃないですか?マリファナは大丈夫でしょ(笑)」
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大麻は、葉や茎に含まれる成分『THC』が脳に作用し、一時的な陶酔感を与え、幻覚症状が出るとされる。だが、重度の使用は「がんの引き金になる可能性」や「生殖能力の低下」が指摘されている。決して、無害なものではない。
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【元売人は・・・】
「大麻を吸って車を運転して事故してる子が何人もいますし、ちょっとおかしくなってベランダからぶら下がって落ちて大けがした子もいます」
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一方で、元売人は「近年、大麻の入手先に変化が出てきた」と話す。
【元売人は・・・】
「アメリカ村で売られているのは、昔を100だとすると今は20〜30」
(Q.残りはどこで?)
「インターネットですね」
確かに、インターネット上にも大麻の情報は溢れていた。
記者「『マリファナの種を販売している』と書いてあります。『種の所持は違法ではない』とも書かれています」
大麻の種そのものに薬物性はなく、食用などにもされることから、種の所持や販売は規制されていない。だが、発芽させれば紛れもない違法行為となる。
【元売人は・・・】
「(大麻経験者に)チャレンジしたことのない子はいないと思います。小学校の時、チューリップを育てたことありますか?その知識があったらできますね」
ネットで販売される大麻の種には、その効果の強さを売りにするものも多い。
【元売人は・・・】
「最近はキツイものばかり。(昔と比べて)ビールを飲んでいるか、ウォッカとか日本酒をガツンと飲んだ時ぐらいの差がある」
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捜査当局も、若者の罪悪感のなさを懸念する。
【近畿厚生局麻薬取締部 原田進部長】
「なんら罪の意識のないまま、『何で逮捕されるの?』と口走る若者が多いです」
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厚生労働省などによると、2006年に大麻取締法違反で検挙された人数は2423人と、過去最高を記録。そのおよそ7割が、10〜20代の若者だ。
【近畿厚生局麻薬取締部 原田進部長】
「大麻の乱用者が他の麻薬に移行するケースが多く見られ、憂慮している状況です」
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職員「大学からです〜。読んでください〜」
事件を受けて大学側は薬物対策本部を設置し、ビラ配りなどの啓発活動を始めた。他にも、講義での注意喚起や、啓発ビデオ放映などの様々な対策に乗り出している。
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【関西大学 芝井敬司副学長】
(Q.学内から薬物を根絶できますか?)
「将来のことですから、『絶対にない』とか軽々に言えないと思います。私たちとしては、なくしたい。その為に最大限のことをさせてもらいたい」
だが、学生たちは・・・。
【関西大学の学生は・・・】
「やらん人はやらんけど、やる奴はそれでもやるんとちゃいますか?」
「個人のことなんで、いくら注意してもやるヤツはやるし・・・」
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さらに、学内にはこんな噂が公然と語られる・・・。
学生「マリファナを中央グラウンドで吸うサークルがある。噂ですけど・・・」
記者「最近ですか?」
学生「だいぶ前から。3年前から知ってましたよ」
【関西大学の学生は・・・】
「捕まった人だけではなく、違う売人がいるという噂は聞いています。氷山の一角ではないかな・・・」
警察も、学内で大麻が蔓延する状況に関心を示していて、大学側も調査に乗り出す構えだ。
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だが、大麻根絶を実現するのは容易ではない。
【元売人は・・・】
(Q.関西大学が特別なのか?)
「どこで起こってもおかしくない。**大学、**大学、**大学・・・。言い出したらキリがない。今、もし当局が真剣に動けば、何十人と逮捕される大学もある」
大学に広がる薬物汚染の闇。
市川容疑者は依然として反省の態度を示しておらず、警察は、市川容疑者から購入した学生らの割り出しを進めている。
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