前防衛次官守屋武昌被告に実刑判決が出た。納入業者との癒着が厳しく断罪されたのは当然だ。チェックできない組織の問題でもある。再発防止はできるのか。防衛省の体質の再点検を望みたい。
業者丸抱えの旅行や、長年にわたる妻同行の接待ゴルフ。さらに長男の借金返済目的で、次女の留学費用で…。まさに「家族ぐるみ」の様相で、計約千二百五十万円もの巨額なわいろを受け取っていたのだ。
国家公務員倫理法や自衛隊員倫理法ができたとき、守屋被告は官房長だった。事務次官のときは、「倫理監督官」でもあった。収賄事件はその時代のことだ。頂点まで上り詰めた“大物次官”に対し、東京地裁は「規範意識の乏しさに驚きを禁じ得ない」と、厳しい言葉を用いた。
次期輸送機CXエンジンなどの防衛装備品をめぐり、業者に便宜を図っていたのだから、悪質というほかはない。「国家の存立にかかわる防衛行政の根幹を揺るがせた」とし、懲役二年六月の実刑を下したのも、事態の重大性、深刻性を判断したためだろう。
防衛装備品の調達では、メーカーに価格を問い合わせるなどの改革に手をつけてはいる。だが、兵器の価格自体が、不透明そのものだ。さらなる適正な調達の在り方を模索してほしい。
不正の背景には、四年もの長きにわたり、次官として君臨したおごりもあったろう。公務員に対する国民の信頼をも傷つけた罪は重いといわざるを得ない。自衛隊を統括する地位にある事務方のトップが、腐敗していたのでは、文民統制の上でも示しがつかない。
文民統制が危ういことは、田母神俊雄・前航空幕僚長が、政府の基本方針を無視し、侵略戦争を正当化した論文を発表したことにも表れている。更迭といっても定年退職扱いで、反省の弁もない。
守屋被告はまさに公務員の資質が断罪されたが、今なお背広組も制服組も、政府や国民の監視の届かない部分で“暴走”しているのではないか。そんな懸念が残る。防衛省の体質そのものに、さらなる点検が求められよう。
防衛汚職事件では当初、「政・官・財」のかかわりが指摘されていた。再発防止に欠かせない、その暗部の解明はいまだ不十分、という印象もぬぐいきれない。
その後も防衛省で続発している不祥事をみれば、守屋被告の悲願だった「省昇格」も、時期尚早だったと言いたくなる。
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