悩める石井、ダライ・ラマ14世に人生相談
悩める21歳がチベット仏教の最高責任者に人生相談?プロ格闘家に転向した北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの石井慧(21=国士舘大)が6日、来日中のダライ・ラマ14世(73)が両国国技館で行った講演会に招待された。当初は花束を渡すだけの予定だったが、自ら講話に耳を傾け、質問コーナーでは自身の今後の身の振り方について相談する一幕もあった。質問に答えたダライ・ラマ14世の言葉は、石井の胸にどう響いたか――。
【石井転身特集】
セキュリティーの問題により厳戒態勢が敷かれる中、熱心に講話に耳を傾けた約4500人の観衆がどよめいたのは、講演終了後の質問コーナーだった。1人目の質問者はその場で質問を終えたが、希望者が多かったため、主催者側が舞台前に整列を促したところ、一番前に並んだ青年が「石井です」とあいさつ。通訳の女性が「柔道金メダリストの石井選手です」と紹介し、ダライ・ラマ14世との対話が始まった。
石井は「今、自分の中で全く分からない世界に来ている。いろいろな人からアドバイスをもらっているが、最後は自分で決めた方がいいのか、長いものに巻かれるというやり方も時には必要なのか」と質問。これに対し、ダライ・ラマ14世は「たくさんの方のアイデアを取り入れることもためになると思うが、仏教的な観点から答えれば、状況をよく調べ、考えることだ。それによって自分自身で判断を下すことが最終的になさねばならない道だと私は思う」と答えた。
石井は仏教系の学校で知られる清風学園に中学から進学。清風高1年時に国士舘高へ転校したが、仏教への傾倒は今も続いている。その清風学園時代に「ダライ・ラマ14世から仏像をもらった」と父・義彦さん。講演会を主催したチベット支援団体によると、当初、石井は花束を贈呈するゲストとして招かれていたが、石井自身が「講演会も聞きたい」と希望し、質問コーナーにも自らの希望で立ったという。
3日にプロ宣言し、大みそかの「Dynamite!!」のリングであいさつすることは確定的だが、デビュー戦の時期は未定。今後の練習環境なども白紙の状態が続いているだけに、わらにもすがる思いだったかもしれない。神妙な表情で話に耳を傾けた21歳にとって、この日の“邂逅(かいこう=巡り合い)”で新たな道が見えてきたかもしれない。
[ 2008年11月07日 ]
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