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【眼光紙背】米百俵

赤木智弘の眼光紙背:第57回

サブプライムローン問題に発する世界的な経済混乱状況において、麻生内閣の経済対策手腕に注目が集まっている。
そんな中で麻生内閣が打ち出したプランが、「住宅ローン減税」「高速道路料金を、土日祝日1000円走り放題」そして、なんの景気浮揚効果もなく、経費をドブに放り捨てただけの「地域振興券」の再来とも言われる「定額給付金」である。

私がこの政策に対して思うのは、自民党としては、いわゆる「庶民」に対して経済対策を行うことによって、いずれやってくる選挙に対する対策をしているつもりなのだろう。また、そのような安直な人気取りのバラマキ政策に対して、野党や経済評論家たちは、批判を寄せている。
だが、私には同じバラマキであっても、このバラマキは金持ちに対するバラマキであり、自民党の選挙対策の意図や、野党が批判に合致するような、庶民に対するバラマキであるとは思えない。

まず、住宅ローン減税は、住宅やマンションを買えるような大金持ちしか相手にしていない。
高速道路についても、車を維持できるような金持ち相手の政策だし、なにより「土日祝日」という曜日設定自体が、月〜金勤務の正社員しかターゲットにしていない。
そして、定額給付金については、地域振興券のように年寄りと子供をもつ親以外はゼロということはないものの、やはりこの両者に対しては上乗せがあるなど、優遇の方向に調整が進みつつあるようだ。これもまた、所得はなくとも潤沢な資産をもつ老人と、子供を産んで育てるような余裕のある恵まれた世帯をのみを優遇している。
そうした「裕福な庶民」が優遇政策を受ける一方、結婚もできないような貧しい現役世代の単身者すなわち「庶民」が、またしても軽んじられている。

かつて、小泉純一郎元総理は「米百俵」の話を持ち出して、改革路線の必要性を喧伝した。
もっとも、この話は米のない現状に苦しんでいる人が、お米をもらってもなお、それを教育につぎ込むことによって、「今ここ」で浪費するのではなく将来に対する糧とするべきだとする話なので、小泉改革のような貧乏人からお金を取り上げ締め上げる思想の話ではないのだが、それはまぁいい。
私たちが米百俵の話から本当に学ぶべきは、今回の麻生内閣のような「今、お金をもっている人間に対する浪費を誘発する」ような「目の前の米を食べてしまう政策」ではなく、今後の日本を担うべき就職氷河期以降の世代に労働とお金を与えて、国を支える労働者としてしっかりと戦力化していく「米を教育に費やす」ような根源的な成長を目指した政策こそが、真に日本の国際競争力を高め、日本を豊かな国にしていくために必要だという考え方であるはずだ。

今のように恵まれた正社員だけをひいきして、フリーターや派遣社員といった非正規労働者を大切にしない国は、20年後30年後、必ず三流国家に落ちぶれる。私は日本という国を愛しているからこそ、麻生内閣の金持ち優先のバラマキ政策に象徴されるような、国が金持ち優遇の三流国家に落ちぶれる姿を見過ごすつもりはない。
私が今回の経済政策を批判するのは、「バラマキ政策だから」ではなく「真に日本を成長させる政策ではないから」である。

プロフィール
赤木智弘(あかぎ・ともひろ)…1975年生まれ。自身のウェブサイト「深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。近著:「若者を見殺しにする国

眼光紙背[がんこうしはい]とは:
「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。バックナンバー一覧

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