母子医療、東北も綱渡り 緊急時待機医師頼みリスクの高い妊婦に対応する東北の総合周産期母子医療センターで、5カ所のうち4カ所は当直の産科医が1人態勢となっていることが、河北新報社のまとめで6日、分かった。東京都内では10月、センター指定を含む複数の病院に搬送の受け入れを断られた妊婦が死亡。1人態勢の東北の各センターは「原則として救急搬送は受け入れる」と緊急時には別の医師を呼び出しているが、母子の生命を守る拠点も綱渡りを強いられている現状が浮かび上がった。東北でセンターに指定されているのは青森県立中央、岩手医大、秋田赤十字、仙台赤十字、福島県立医大の5病院。未整備の山形県では山形大、山形済生、県立中央の3病院が連携して救急などに対応している。 センター指定の各病院によると、産科医の当直態勢は14人で回す福島県立医大だけが2人で、残る4カ所は1人。担当する医師数は青森県立中央と仙台赤十字、秋田赤十字が6人、岩手医大は5人で、週1回以上のペースで当直している。 1人態勢のセンターでは緊急手術などに対応するため、交代制で待機する医師が駆け付ける「オンコール」の態勢を整えている。 厚生労働省の指針によると、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)が6床以下のセンターはオンコール態勢を取ることを条件に、当直は1人でも可能としている。 9床を備え、本来は複数の配置が望ましいとされる青森県立中央の佐藤秀平センター長は「今は当直1人がやっとだ。待機の医師が十分以内に来られるので、実質的には複数当直と変わらない」と説明する。 通常勤務に加え、当直やオンコールをこなす産科医の負担は医師不足で増大しているが、各センターは原則として救急搬送の要請を断らない姿勢を示している。 福島県立医大は「うちが最後と思って引き受ける」とセンターの使命を強調し、岩手医大も「症状に応じてセンターの医師が責任を持って診療先を確保する」と話す。 仙台赤十字の谷川原真吾産婦人科部長は「複数当直にするには現在の何倍もの医師が必要だ。現場の力だけで実現するのは難しく、限られた地域の資源を生かして医療レベルを上げていく方策を皆で考えるべきだ」と訴えている。
2008年11月07日金曜日
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