最終更新: 2008/11/07 00:18

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ロシアのメドベージェフ大統領、新ミサイル「イスカンデル」を配備すると表明

アメリカにバラク・オバマ新大統領が誕生した歴史的な日に、ロシア政府が挑発的な動きに出た。
ロシアのメドベージェフ大統領は、東ヨーロッパにおけるアメリカのミサイル防衛計画に対抗するため、新型ミサイルを配備すると表明した。
アメリカの新たな門出となった日、ロシアでは、メドベージェフ大統領が年次教書演説で「必要とあれば、MDシステム無力化のために、カリーニングラードにミサイルシステム『イスカンデル』を配備する」と述べた。
メドベージェフ大統領は、アメリカとの関係悪化を象徴するかのように、新たなミサイルの配備を発表した。
その新たなミサイルの名は「イスカンデル」で、NATO(北大西洋条約機構)では、「SS-26 ストーン」と呼ばれる短射程の地対地弾道ミサイル。
配備されるのは、ロシア本土から離れ、リトアニアとポーランドに国境を接する飛び地のロシア領カリーニングラード州。
アメリカの変革が明らかになった今、なぜロシアは新たなミサイルを配備すると決めたのか、軍事評論家の岡部 いさく氏は「今、ロシアはアメリカとNATOから、迫られつつあると感じているんです。特にブッシュ政権は、ポーランドにアメリカ本土防衛用の迎撃ミサイルの配備を決めています。今回、ロシアはそれに対抗措置であると明言しています」と話した。
これまでアメリカとNATOは、旧ソビエトの構成国、そして影響下にあった東ヨーロッパを加盟国に吸収して勢力を拡大している。
そして、2007年10月、アメリカのブッシュ大統領は「われわれは、増大するイランの脅威からヨーロッパを守る手段を持っていない。それを可能にするミサイル防衛システムが必要だ」と述べた。
アメリカは「イランからの弾道ミサイル防衛のため」として、ロシアに近いポーランドにアメリカのMDミサイル配備計画を決定した。
軍事評論家の岡部 いさく氏は「アメリカは、これは性能上あくまでも対イランだとしています。それでもロシアからは、自分の長距離ミサイルを、つまりアメリカに対抗する力をそぐものと見えるということなんですね」と語った。
さらに8月の南オセチアをめぐるグルジア紛争で、アメリカはロシアの懐である黒海に艦船を送り込むなどけん制した。
さらに紛争の余波が残る8月下旬、アメリカはライス国務長官をポーランドに送り、両国はミサイル配備について合意し調印、ポーランドへの配備が決定した。
その結果、今回、ロシアはイスカンデルの配備という、いわば強硬策に打って出た。
軍事評論家の岡部 いさく氏は「これはNATO側にとっては、非常に厄介なものです。逆に言えば、ロシア側は巧妙な手を打ってきたわけですね」と語った。
実はこのイスカンデルは、今、アメリカも確実な迎撃手段を持っていないという。
通常の弾道ミサイルは、ほぼ垂直に打ち上げられ、高高度から落下してくる。
しかし、イスカンデルは、高く飛ばない弾道でも飛ぶことができる。
軍事評論家の岡部 いさく氏は「ポーランドに配備予定のアメリカ本土防衛用ミサイルは、イスカンデルに対応するものではありません。これを迎撃するには、PAC3迎撃ミサイルが必要で、現にポーランドもそれを求めているんです」と語った。
ポーランドなどヨーロッパを舞台に、米ロの新たな緊張が懸念される中、メドベージェフ大統領は、演説の最後に「新しいアメリカ政府が、ロシアと豊かな関係を選択することを期待する」と述べた。
アメリカの出方を探るロシア、果たしてアメリカはどう答えるのか、注目される。

(11/07 00:10)


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