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【コラム】オバマ氏を韓国の友人にするために(下)

核問題、FTA…ブッシュ大統領とはまったく異なる認識

 オバマ氏は米中関係についても、「大きな問題があるとすれば、それは軍事的なものではなく、経済的な問題だ」と発言してきた。ブッシュ政権が「テロとの戦い」に力を注いできたのに対し、オバマ政権は「貿易戦争」に打って出るかもしれない。

 一方、対北朝鮮政策は、対応を誤れば韓米関係の根幹を揺るがす重要な政策だ。これまで演説の中で、オバマ氏は「金正日(キム・ジョンイル)総書記とも会う用意がある」と表明してきた。次期副大統領に当選したジョセフ・バイデン氏は代表的な太陽政策の支持者であり、またオバマ陣営で韓半島(朝鮮半島)政策に関する実務を担当してきたフランク・ジャヌジ氏はバイデン氏の補佐官を務めてきた。ブッシュ大統領は北朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除するなど、任期終盤になって北朝鮮への融和路線に転換したが、オバマ陣営はこの間、北朝鮮に対する別の秘密ルートを構築してきたとされている。ブッシュ政権よりもさらに大きな構想を用意して北朝鮮にアプローチしていくためだという。その「大きな構想」が何であれ、オバマ氏が大統領に就任した後も北朝鮮への融和姿勢を取り続ければ、意図的に李明博(イ・ミョンバク)政権を攻撃し続ける北朝鮮と手を結ぶことになってしまう。

 シカゴのグラント・パークを埋め尽くした黒人と白人の大団結は、米国だけでなく世界中の人々に感動を与えた。だが、国際政治の冷酷な現実に変わりはない。 

 韓国人は近いうちに、同盟国の韓国とはしかめっ面で向き合い、「ならず者国家」の北朝鮮とは笑顔で握手する米国を目の当たりにするかもしれない。韓米両国はこれまで、少なくともFTAに関しては意気投合してきたが、今や北朝鮮の核問題でも、FTAでも軋みが生じることになりかねない。そのためにも李明博政権は8年前、ブッシュ大統領の登場が金大中(キム・デジュン)政権に与えたような打撃を被るかもしれないという冷静な現実認識と覚悟をもって、「オバマ大統領」率いる米国と向き合っていかねばならない。

 考え方も気質もブッシュ大統領とはまったく異なるオバマ氏は、李明博政権にとっては相当やっかいな相手になることだろう。だが、幸いにもオバマ氏は、進歩派がチリの人権状況を批判しながら、「鉄のカーテン」の向こう側の人権問題については沈黙している状況について異議を唱え、「左派と右派の団結」に関心を寄せてきた、「思慮深い進歩派」だ。また、オバマ氏がブッシュ政権から受け継ぐことになる金融危機を克服した後、米国は国際社会にもっと協力していかなければならなくなる。同盟国としてオバマ氏率いる米国と協力していかなければならない韓国の立場というものがあり、それに伴って韓国が主張していくべきこともある。その中で、オバマ氏を韓国の「良き友人」にしていくための「てこ」も見つかることだろう。

ホン・ジュノ編集部副局長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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