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【コラム】オバマ氏を韓国の友人にするために(上)

核問題、FTA…ブッシュ大統領とはまったく異なる認識

 白人の少女と一緒に歩いていた黒人の女性が、いきなり白人の男たちに殴られた。その後、この白人の少女と一緒に映画館へ行った黒人の少年は、映画館の中で取り押さえられ、どこかへ連れ去られてしまった…これは最近、米国で公開中の映画『ハチたちの秘められた人生』の一場面だ。1964年、ジョンソン大統領(当時)が黒人差別を禁止する「公民権法」に署名した当時の米国南部を舞台にした映画だ。

 米国の半数近くの州で、黒人と白人の結婚が法律で禁じられていたその時代に、あるアフリカ人の留学生と白人の女子大生との間に生まれた子ども(1961年生まれ)が、米国の次期大統領に当選した。多くの米国人にとっては違和感を感じる「バラック・フセイン・オバマ」という名を息子に付けた父親は、バラックが2歳のとき、彼と妻を捨てて母国のケニアへ帰ってしまった。米国は建国以来初めて、黒人の大統領、それも父親が外国人である人物をホワイトハウスに迎えることを決めたというわけだ。

 バラック・オバマ氏のサクセス・ストーリーはまさに多くの感動に包まれたものだ。オバマ氏を見つめる黒人たちの目からは涙があふれ、一方で彼をカメラに収めた白人たちは、人種の壁を乗り越え、米国の民主政治の新たな1ページを開いた自らを誇りに思っている。ここまでは米国国内の話だ。

 オバマ氏はおそらく、米国の大統領選で韓国に関する公約を盛り込んだ二人目の大統領になるだろう。ベトナム戦争での敗北やウォーターゲート事件で混乱の最中にあった1976年、大統領選で圧勝したジミー・カーター氏は、在韓米軍の撤退を公約し、実際に韓国に駐留していた地上軍を完全に撤退させようとした。カーター氏が大統領職にあった時代は、韓米関係という観点では最悪であった。

 オバマ氏は機会があるたびに、韓米間の自動車の輸出入に関する不均衡の問題を取り上げ、韓米自由貿易協定(FTA)を批判した。これは自動車労組の票を意識した側面があるが、オバマ氏の脳裏には韓国が「米国人の働き口を奪う国」の一つとして刻まれているのではないだろうか。そうでなければ、あれほどまでに韓国を名指しで批判したりはしないだろう。従って、大統領選が終わればオバマ氏の態度も変わるだろう、という期待はしない方がよい。

ホン・ジュノ編集部副局長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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