英の人気スタンダップ・コメディアン、ラッセル・ブランド
今までアメリカのスタンダップ・コメディアンを何人か取り上げてきましたが、今日はイギリスのお騒がせコメディアン、ラッセル・ブランドをピックアップ。
現在、33歳。イギリスでは、スタンダップ・コメディアンとしても、TV司会者としても超人気者。ワンマンのコメディ・ショーでも、常に大入り満員です。濃い眉毛に濃い胸毛、黒のスキニージーンズを履いて、同じく黒いシャツの胸は第4ボタンぐらいまでオープン。髪の毛は無造作なロン毛、しかも思いっきり逆毛を立てていて、言ってみれば、いかれたハード・ロッカーみたいな風貌。見た目と同様に経歴もハードで、元ドラッグ&アルコール中毒、現在はセックス中毒、また猥褻物陳列罪(ステージ上で自分のイチモツを見せてしまった)で11回の逮捕歴アリ。
そんな彼のギャグは、キツくて、えげつなくて、とても下品!ワンステージにつき1回は、マスターベーションのネタをやって腰をグラインドしています。ただラッセルの場合、ボキャブラリーが非常に特徴的で、下ネタに小難しい医学用語を用いたり、日常会話では使わない文学的表現でピロートークを再現したり……。このあたりに、彼のトークのオリジナリティ、英国人ならではのユーモアを感じます。
イギリスでは超売れっ子コメディアンであるラッセルですが、とはいえ、アメリカではまだまだ無名に近い存在。しかし今月初め、アメリカの『MTVビデオアワード』で司会を務めるという、大役を仰せつかりました。ブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・アギレラなどがゲストで登場し、ティーンエイジャーたちが夢中になってウォッチする『MTVビデオアワード』の司会をこんな過激な男に任せて大丈夫なのかな~と思っていたら、やはり、非難ゴウゴウの結果に。
アメリカでの初の大舞台だったわけですが、ラッセルはのっけからブッシュ大統領を「うすのろカウボーイ」呼ばわり。しかも、「アメリカよ、世界のためにオバマを選んでくれ」と、イギリス人であるのに、個人的政治主張をしてみたり。
もっとマズいことに、「結婚するまではセックスをしない」と公言しているティーンエイジ・バンド、ジョナス・ブラザース(Jonas Brothers./14歳、17歳、19歳の3人組)のメンバーが付けていた「純潔の証」のためにつけている指輪を「なに、これ? 本気~~??」とからかって、大ヒンシュクを買いました。ジョナス・ブラザースの面々は、いかにも“いい子ちゃん”な見た目で、おまけに純粋なクリスチャン。会場に居た観客だけでなく、テレビの視聴者からも大ブーイングで、クレーム電話がひっきりなしだったとか。政治、そして、宗教。アメリカ初の大舞台で、ラッセルは果敢にタブーに切り込んでいったわけですが、そのギャグは滑りまくり、会場の空気は凍りついてしまった次第……。
しかしこの話、意外な後日談があります!この司会の様子を観ていたMTVの重役たちは、ラッセル・ブランドの司会をいたく気に入り、番組終了後には、即来年度の『MTVビデオアワード』の司会をオファー。ど、どうして!? それほどラッセルの司会にインパクトを感じたのでしょうか?しかも翌週に出た調査結果では、今年のビデオアワードは、昨年よりなんと20%も視聴率アップ。2%じゃなくて、20%ですから、これは破格の視聴率アップです。ということで、番組関係者やスポンサーからは高い評価を受けまくったのだとか。
とりあえず、来年の『MTVビデオアワード』でもラッセルの過激な司会はおがめることになりましたが、このあまりにもキテレツなコメディアン、引き続きウォッチしていきたいと思います。