来日しているチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(73)が5日、福岡市中央区の筑紫女学園中学・高校を訪れ、約1200人の前で「現代(いま)を生きるきみたちへ」と題して講演。生徒たちは、非暴力による社会の変革を唱えるダライ・ラマの言葉に耳を傾け、それぞれが抱く平和への思いをぶつけた。
赤いけさ姿のダライ・ラマは拍手で迎えられ、講堂に入場。学生として知恵を高め、それを他者のために役立てることの重要性を、英語やチベット語で説いた。
被爆国である日本の世界の中での役割にも言及。「たくさんの人が大変な苦しみを経験したが、日本人はそれを反戦への決意へと変えた。だからこそ、世界平和や核廃絶を主導するべき立場にある」と訴えた。
質疑応答で、中学3年生が「世界平和のために今の私ができることはありますか」と質問。ダライ・ラマは、世界平和は願うだけでは実現せず、暴力を完全に無くすことは難しいとした上で、「意見の合わない存在と争いの心で立ち向かうのではなく、対話し歩み寄ることで(意見の違いを)解決できる。常に話し合う姿勢でいてほしい」と呼び掛けた。
最後に生徒会長の高校2年、ラフマン・シャハナさん(17)が生徒を代表してあいさつ。両親の母国バングラデシュで子どもの物ごいに会った経験から「不公平な世の中を知った」と語り、「世界の人々が毎日を笑って過ごせるために、私たちは手を取り合って平和を実現しなければならない。時間を共有できたことをうれしく思います」と謝辞を述べた。
=2008/11/06付 西日本新聞朝刊=