小野市の蓬〓務市長と三木市の薮本吉秀市長は5日、両市の市民病院を統合して、新病院「北播磨総合医療センター」を小野市内に建設することを明らかにした。2013年の開院を目指す。医師不足から存続が危ぶまれる病院が、医師を派遣する神戸大医学部の統合提案を受け入れ、地域の中核病院として生き残りをかける。【南良靖雄】
新病院は神戸大医学部系の中核病院として、臨床研修教育に力を入れ、地域に医師を派遣できる病院にする。診療科目は現在の両病院の診療科目に産科を加えた20科目。病床数は400床(現在の2病院計543床)で、うち一般病棟は350床。スタッフは医師80~100人(同71人)、看護師400人(同331人)を予定している。
建設場所は、県の「小野長寿の郷」構想の候補地の一角で、小野市有地約10ヘクタールを活用する。建物は鉄筋コンクリート地上6階地下1階延べ4万平方メートル。事業費は130億円を見込んでいる。費用の負担割合は09年1月にも設置する建設協議会で具体化する。
新しい臨床研修医制度の導入に伴って勤務医が不足。04年に約200人が勤務していた北播磨5市1町の公立5病院の医師数は、昨年には177人に減った。三木市民病院では産婦人科や小児科が廃止され、患者も減り赤字が増えている。小野市民病院も産婦人科を休診している。
このため神戸大医学部が昨年5月、北播磨地域の公立病院の統合を提案。同11月には小野・三木両市民病院の統合を再提案し、両市が検討していた。
薮本市長は「医師不足から市民病院としては縮小の一途。単独で解決策を模索するより、広域的な流れで道が開けないかと判断した」と述べた。
蓬〓市長は「10年、15年先をみると、(三木と)同じような問題がでてくる。神戸大、三木市と協力することで、より高度な医療圏をつくることができる」と話した。
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■解説
小野・三木両市は勤務医減少問題に直面している。小野市民病院では、産婦人科が05年から休診中。また、三木市民病院では勤務医が04年度末の52人をピークに減少し、1日現在で37人まで落ち込んだ。このため今年度からは平日夜間の救急体制が医師2人から1人になり、病院経営にも影響を与えている。
統合構想では当初、加古川市で来年開設予定の県立加古川病院との競合が懸念されていた。しかし、加古川病院が重度患者を扱う三次救急を中心に行い、二次救急を扱う北播磨地域の公立病院と連携することを確認し合ったことから、合意に至ったという。
小野・三木両市は今後、新病院の建設予定地と同様に国道175線沿いにある加東市民病院(加東市)にも統合構想への参加を働きかける方針だ。加東市民病院は取材に対して「参加に関して現段階では何も決まっていない」としている。【松田栄二郎】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2008年11月6日 地方版