事故米不正転売事件に関する内閣府の有識者会議が5日開かれ、新たに判明したカビ米などの流通先を公表しなかった農林水産省に対し「消費者への配慮がない」「再発防止につながらない」などと批判が相次いだ。
問題になったのは、同省が10月31日発表の中間総括で、一般的なカビや水ぬれで食用に適さなくなった事故米の流通先140社の業者名を伏せたこと。会議で石破茂農相が「カビが付着した部分を除去して転売していれば食品衛生法違反ではない、と厚生労働省から回答を得た。買った業者からもクレームは出ていない」と説明すると、有識者から「カビ菌は目に見えず、完全には除去できない」との反論が続出。農相は「消費者に不安を与えたとは判断していない」と開き直る一幕もあった。
同省は不正発覚当初、カビ毒や基準以上の農薬を検出した汚染米の流通先の公表に消極的だったが、当時の福田康夫首相の指示で公表に踏み切った経緯がある。その結果、九州の米菓や酒造メーカーなど約400社が風評被害による売り上げ減少などに直面。同省は、製品回収費用の負担を含め約150億円の経営支援策を打ち出したばかり。会議では、この支援策に対しても「原料調達はメーカーの責任で、税金での穴埋めはモラルハザード(倫理観の欠如)になる」との批判があった。
=2008/11/06付 西日本新聞朝刊=