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2008-11-05

カナダの元首相と麻生総理大臣がクリソツな件

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※写真=ままちゃりおんなの暴走(英語版)より


顔のことはともかく、賛否両論あるこの元カナダ首相について興味を抱いたので調べてみた。

ジャン・クレティエンは製紙工場で働く父のもと、1934年1月11日に19人兄弟の18番目として生まれた(うち、9人が生存)。全くの庶民だったわけだから、これはどこかの国にいるお坊ちゃんの癖に下品な首相とは大違い。

クレティエンは今から15年前の1993年11月4日首相に就任した。当時カナダ先進国のなかで最悪の財政赤字を抱えていたが、クレティエンが首相でいる間にすっかり解消し財政は黒字化した。当時の好景気に助けられたせいもあり、クレティエンの地方への補助金カット政策が功を奏したこともある。補助金カットは当然ながら批判も受けた。特にヘルスケアに対する補助金カットは大きく問題視された。クレティエンがこの批判に応え、ヘルスケアを含むいくつかの重要な社会福祉政策への援助を強化し始めたのは、財政が黒字化した後である。

一方、ケベックでは1960年頃からケベックナショナリズムが頭をもたげていたが、クレティエン政権下の1995年、ケベック独立の是非を問う住民投票が行われた。結果は独立反対50.8%:賛成49.2%、僅か53,498 票差で独立は否決された*1。この時クレティエンは連邦主義側の音頭を取ったわけだが、その戦略のまずさを非難されたという。しかしクレティエンによるその後のフォローによって、ケベック独立問題は沈静化へと向かう。

クレティエンは衆議院でケベックを「カナダの中で独特の文化を持つ社会」と認める動議を提出。さらに連邦と州との関係を見直し、州に従来より大きな権限を与えるようにした。*2

The Canadian Encyclopedia, ”Chrétien, Joseph-Jacques-Jean”

カナダから独立しようともくろむケベック政府の動きに対し、明確化法 (Clarity Act) を制定し、「カナダ政府は、独立是非の『明確な質問』に対する州民の『明確な賛成』の意思表示がない限りケベック独立宣言は認めない」という決定をした。

ジャン・クレティエン(Wikiより)

さて、カナダとアメリカの関係は深い。しかしクレティエンはアメリカのイラク侵攻を支持しなかった。これだけを見ると平和主義を貫く意志を高く評価したくなるが、もっと実際的な理由があったようだ。

The Canadian Encyclopedia, ”Chrétien, Joseph-Jacques-Jean”によれば、カナダは長年の平和により軍備が縮小され、危機に対応できるだけの軍事力をもはや保有していないのだと言う。アメリカのイラク侵攻に協力しないことの理由として、クレティエンは「アメリカ政府がすべての選択肢を検討していないため」とも説明した。

以下の引用ではクレティエンに好意的な解釈をしている。

クレティエン政権は2003年のアメリカのイラク侵攻を支持せず、これに参加しなかった。クレティエンは「国連常任理事会での決定がなかったことが理由で、カナダはあくまで平和解決の方策を探るべき」との見解を示した。

ジャン・クレティエン(Wikiより)

カナダの国民はクレティエンの最大の功績はブッシュイラク侵略に反対したことであるとしています。(略)カナダにとって政治経済両面にわたって最大のパートナーであるアメリカからの圧力に屈しなかった姿勢はカナダ政治史で赤字解消より高く評価されるのかもしれません。

財政赤字から抜けられないのにイラク復興資金という名のもとにアメリカに50億ドルも支援する小泉純一郎はクレティエンと比べることもできないほど経済感覚が甘く、無責任な指導者です。そういう人を支持するのが多くの日本人であるということが私には理解できません。カナダのテレビではイギリスが9億ドルなのに日本は50億ドル出す、と呆れ顔で報道されました。

木霊の宿る町「ジャン・クレティエン首相」(2003.11.13)

クレティエンの政治家としての特徴は、CBC Indepth JEAN CHRETIEN Introduction(October 15, 2007)に少し描かれている。ポピュリストであり、労働者層へのアプローチが得意、年中何らかの騒ぎにつきまとわれていた。

ところで、クレティエン氏の口が曲がっているのは小児ポリオの後遺症だそうで、あまりこういう点を冷やかしてはいけないのだが、それ以外の部分、目や眉、鼻や、額まわりまでも、麻生とよく似ている。世界には同じ顔の人が3人いると言われるが、そのうちの2人ではないかと思ってしまう。

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