2008年10月23日 02時30分00秒

映画におけるグロ描写と単なるグロ画像の違い

テーマ:ゾンビ映画の雑談

こんなことを言われた。


「ホラー映画は精神に悪影響をもたらす」


発言者は心理学を勉強しているわけでも何でもなし。
ホラー映画における残酷描写と、
ネット上のイタズラなどで目にしてしまうグロ画像を、
同列視しているよう。


非常に短絡的で無責任な意見だと思う。


無数に存在し、増え続けるホラー映画。
レンタル店に並ぶ商品の中には、
ごくごく一部、
理不尽な拷問や殺人などの犯罪行為を見せ続けるだけの、
映画と呼べない代物も確かに存在する。
私もその類いは大嫌いで、
そんなものを「ホラー映画とは認めない。


ホラー映画とはファンタスティックなものだと思う。
アートと見るのも正しいし、
単なる娯楽と見るのも正しい。


その中で必然的に描かれるグロは、
人々に娯楽を提供するために作り上げられた、

アートである。


現実世界では目にすることの無い、刺激的な驚くべき映像。
それらは演出家を始めとする製作スタッフ、
特に特殊メークアップ・アーティストら
特殊効果マン達の技術とセンスと情熱に裏打ちされた、

マジックである。


グロ画像などと一緒にされてはたまらん。


残酷シーンを含むホラー映画が、

観客の精神を蝕ばみ、犯罪を誘発する、

などという考えはあまりにも短絡的で、古臭い。


ホラー映画の残酷シーンを見て精神を病み、
映画と同様の犯罪を引き起こす者がいるとすれば、
それは作品ではなく、受け手側自身に大きな問題がある。


そういう人間は何を見ても、

結局は犯罪行為に走ってしまうのではないか?


実際ホラー映画だけでなく、
テレビのドラマやアニメにだって暴力や残酷は溢れている。


子供が見ている時間帯のドラマの中で、
女性がレイプされたりする。
サスペンスドラマや刑事ドラマでも人は理不尽に殺され、
血が流れる。
時代劇のヒーローだって見方を変えれば、

毎回鋭利な刃物で大量虐殺をしている。

流行りのお笑いだって、

いじめや暴力とも受け取れる要素を含む。


なのになぜホラー映画の残酷だけを問題視するのだろう?


ホラー映画を「精神に悪影響を及ぼす」として規制するのなら、
そういった番組での表現も全て規制すべきか?

そんなことしたらテレビ番組はみんな、
教育テレビの「おかあさんといっしょ」
みたいになってしまうんじゃない?

みんなでぐ~チョコランタン見る?
(ぐ~チョコランタン批判じゃないよ)


「サンゲリア」を観て、
「よし、俺も人肉喰って、はらわたを引きずり出してやる!」

なんて思う奴、いない。


いたらそいつ自身にもともと問題がある。


映画やテレビ番組での表現としての暴力や残酷。

その影響で簡単に犯罪に走る人間など作らない教育こそ重要。


まだ幼い子供達に対しては、

残酷描写を含む作品を目に触れさせないよう、

各家庭で注意を払えば良い。

それが保護者の務め。



この問題について、

ゾンビ映画の神、

ジョージ・A・ロメロ御大が以前発言していた。

細かい表現はうろ覚えだが、要旨は以下の通り。


「映画における残酷描写は実際の残虐行為を誘発したりしない。

むしろそういった欲求の解消に役立っている。

観客は作り事であることをちゃんと理解して楽しんでいる」


人間は誰しも、多少の残虐性、暴力性を心のどこかに秘めている。

ホラー映画で安全な暴力と残酷を楽しめる人は、

少なくとも

現実とフィクションの区別もつかない危険な人間ではないと思う。


要するに何が言いたいのかというと、


ホラー映画が精神を病むのではない。

ホラー映画から犯罪へ走る者の精神は、

もともと病んでいるのだ。


そういう人物に見せるのなら、

「ROOKIES」「恋空」ですら、危険である。



あまりにも短絡的なホラー批判はやめて欲しいものである。


しかも冒頭の発言者は、

映画製作についての教育を受けた経験のある人物。


映画における表現の自由について

もっと深く考えた上で発言して欲しい。


(以下、感情的になり過ぎたので、一部削除しました。 10/24)



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コメント

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■賛同

ホラー映画が好きだって言うと
たまに引く人がいます。
そういう時に、同じような気持ちになります(´_`。)

子供の頃、木目を見るだけで恐怖した気持ち忘れてしまったのでしょうか?
人間の心の中にははじめからホラーが根付いています。
(感動、エロなども同類)
恐怖したいのは本能的なものなんじゃないかなと思います。


そういう論点なら、ホラー見て無反応な人の方が余程怖いです((゚m゚;)

■まったくの同意見。

いつも拝見させていただいております。
自分も、単なるグロ画像は不愉快なので一切見ません。ホラー映画における残酷描写は、ストーリー上欠かせない演出であるからすばらしいのであり、doragodonのおっしゃるようにアートであり、映像のマジックだと思います。
ホラー映画およびそれを観ることが犯罪の温床になるとは思えません。
犯罪を犯した人間の関係者が何か言い訳をするため、逃げ道として利用されているとしか思えません。
まあ確かに、ホラーが好きというと若干引かれることもありますが、それは表現方法の趣味・趣向の違いということで…。

■すいません。

↑上記、コメントお名前をコピペしたもので、
お名前に「さん」を付け忘れました。失礼いたしました。

■ちいぼうさん

ホラー映画を好きだとどこかおかしい、
とか、
ホラー映画によって精神を病む、
なんて誤解もいいとこですね。

文学でも映画でも、ホラーというジャンルは、
そのメディアの誕生から共に歴史を刻んでいます。

おっしゃる通り、恐怖は本能として根付いていて、
人はそれを娯楽として疑似体験したいのではないかな。
従ってホラーを求めるのはごく自然な欲求だと思います。

ホラー→残酷・異常→精神に悪影響、
という単純な発想から誤解されてしまうのでしょう。

私が目指すホラーの理想形は、
物凄く怖くて面白いお化け屋敷、
もしくは、長い長い絶叫マシン、です。
お化け屋敷や絶叫マシンを楽しむ感覚で観て貰えれば、
「精神に悪影響」なんて発想には結びつかないと思うんですが・・・

■kuriさん

私もよくお邪魔させていただいてます。

この世に存在する無数の映画の中には、
良い作品も悪い作品もあり、当然ホラーも同様です。
中にはホラーの本質や魅力を理解しない、
商業的な目的のみで製作された、一見ホラー映画のような作品もあり、
要は「過激な映像見せときゃいいんだろ」みたいな「商品」が存在します。
交通事故の惨状を集めただけのビデオとか、
拉致された人が切り刻まれるだけとか・・・
そういうグロ画像となんら変わらない残酷ビデオまで、
レンタル店のホラーの棚に並んでたりするので、
変な誤解の蔓延を助長してるのかも知れません。

また、ホラー映画へのバッシングは、
犯罪者の言い訳の他にも、
凶悪な犯罪の原因と責任を、どこかに押し付けて安心したい、
という世間の心理も働いているような気がします。

ホラーが好き、と言うと私も若干引かれちゃうことありますが、
まあ、へっちゃらですね。
我々は恐怖の愉しみを解する、精神的に成熟した大人なのですよ。
多分。

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