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米大統領選、オバマ氏の勝利で日本最悪シナリオも

 米大統領選は4日、全米各州で順次投開票が行われ、黒人初の大統領を目指した民主党のバラク・オバマ上院議員が、共和党のジョン・マケイン上院議員を破って当選を果たした。米国発の金融危機やブッシュ政権の負の遺産に対する不安や批判が高まる中、「CHANGE(変革)」を掲げるオバマ氏の手腕が注目されるが、日本にとっては最悪のシナリオも予想される。

【保護貿易的な色彩強める】

 まず、日本経済への影響。明治大学の高木勝教授は「オバマ政権は日本にとって一長一短だ」と悩ましげに語る。

 世界的な金融危機を引き起こしたサブプライムローン問題は1年半前から指摘されていたが、市場放任的な共和党のブッシュ政権は最近まで、ほとんど適切な対策を取らなかった。

 高木氏は「ブッシュ政権は対応が遅すぎた。それに比べ、民主党のオバマ氏は規制強化などを訴えており、金融危機の解決は早くなるだろう。ただ、それ以外は日本経済にとって極めて厳しい」と予測する。

 オバマ氏は大統領選の演説で、「日本人は十分な(米国製)自動車を輸入していない」「米国産牛肉の安全基準は高いのに、彼ら(=日本人ら)は米国産との競合を望まない」などと語り、日本の輸入拡大を訴えた。

 日本には、民主党政権時代に経済摩擦問題で苦しめられたトラウマがある。特に、クリントン政権(1993年〜2001年)は「ジャパン・バッシング(日本たたき)」と呼ばれるほどの超強硬姿勢で、日本の輸出競争力を減殺させるため、制裁措置を伴うスーパー301条の発動までチラつかせた。

 当時に比べ、日本の対米貿易黒字はかなり減少しているため、「影響は少ない」とみる識者もいる。だが、高木氏は「オバマ政権が保護貿易的な色彩を強めるのは確実。現在、米国の最大の貿易赤字国は中国だが、日本にもさまざまな問題点を突き付けてくるはず。貿易立国の日本には厳しい」と分析している。

 外交面での影響も大きい。国際政治学者の藤井厳喜氏は「オバマ政権は、民主党左派と(金融危機に対応する)米財界による構成となるだろう。国内優先で孤立主義的にならざるを得ない。表向き『日本重視』というが、中国に融和的で北朝鮮に甘くなるのではないか」と警戒する。

【中国に融和的で北朝鮮に甘くなる】

 現時点で、国務長官候補としては、大統領選にも出馬したビル・リチャードソン元国連大使や、クリントン政権時代に国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めたアンソニー・レーク氏らの名前が挙がる。

 リチャードソン氏は、民主党を代表する「米朝融和派」のボス的存在で、北を「悪の枢軸」と名指しした第1期ブッシュ政権時代にも、北の外交当局と接触を続けていた人物。レーク氏は「中国寄り」とされるヘンリー・キッシンジャー元国務長官に近い。

 米国の国力低下が露呈する中、ブッシュ政権ですら北へのテロ支援国指定を解除した。藤井氏は「事実上、北の核保有を認めるのでは。日本は自らの国際的責任を果たしたうえで、もっと対中、対北問題について米国に主張すべきだ」と語る。

 麻生太郎首相の選挙戦略にもオバマ政権の誕生は脅威となる。政治評論家の小林吉弥氏は「オバマ氏の『CHANGE』という言葉がクローズアップされれば、日本の有権者にも『日本も政権交代すべき』『自民党政権は長過ぎる』という空気が出てくる」と言う。

 首相は金融危機を理由に「政治空白をつくれない」と解散総選挙を先送りしたが、金融危機対応への評価は低く、読売新聞が4日報じた世論調査では、とうとう不支持率が支持率を逆転した。

 現在、「12月解散・1月総選挙」「1月解散・2月総選挙」といった日程も浮上しているが、その時期は米国の新大統領就任式(09年1月20日)と重なる。小林氏は「ここでの解散・総選挙はタイミングが悪い。ただ、先送りすればするほど情勢は悪くなる」と話している。

ZAKZAK 2008/11/05

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