去る10月22日、東京地裁が損害賠償請求を棄却した小児科医・中原利郎氏の過労自殺を巡る民事訴訟で、原告は11月4日、最高裁に上告受理の申立を行った。同日、司法記者クラブで開いた記者会見で発表した(関連記事1、関連記事2)。
1999年、小児科医だった中原氏が過重な勤務からうつ病になり、勤務先の病院屋上から投身自殺した。これを、病院が安全配慮義務を怠ったためであるとして、遺族は2002年に病院を相手取った損害賠償請求訴訟を提起した。しかし2007年3月に東京地裁は原告の訴えを棄却(関連記事)。これを不服として遺族が東京地裁に控訴したが、10月22日に再度、この損害賠償請求が棄却された。これとは別に、遺族が労災認定を求めた行政訴訟では、2007年3月に勝訴が確定していた(関連記事)。
10月に損害賠償請求を棄却した東京地裁は、一審では否定された業務の過重性を認定し、過重な業務と中原氏のうつ病の発症には因果関係があるとした。しかし、中原氏がうつ病にかかることを予想することは困難であり、安全配慮義務ならびに注意義務を怠ったとは言えないとして、病院側の責任を認めなかった。