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大阪ひき逃げ:22歳ホスト逮捕「無免許で飲酒していた」

ひき逃げ容疑者逮捕で、大阪府警曽根崎署の前に集まった報道陣(左奥はひき逃げの現場)=大阪・梅田で2008年11月5日午前11時5分、内林克行撮影
ひき逃げ容疑者逮捕で、大阪府警曽根崎署の前に集まった報道陣(左奥はひき逃げの現場)=大阪・梅田で2008年11月5日午前11時5分、内林克行撮影

 大阪市北区のJR大阪駅前の交差点で、堺市の会社員、鈴木源太郎さん(30)が車にはねられ、約3キロ引きずられて死亡したひき逃げ事件で、大阪府警曽根崎署捜査本部は5日、住所不定、建築会社元従業員でホストの吉田圭吾容疑者(22)を殺人と自動車運転過失傷害、道交法違反(無免許運転)容疑で逮捕した。事件当時、無免許で酒を飲んでおり、「人を引きずったまま逃げれば、死ぬことはわかっていた。とにかくその場から逃げたかった」と供述していることから、殺人容疑を適用した。

 捜査本部は5日未明、吉田容疑者が友人と大阪・ミナミのラーメン店から出てきたところを任意同行し、逮捕した。

 調べでは、吉田容疑者は10月21日午前4時20分ごろ、大阪市北区梅田1の国道176号交差点付近でワゴン車を無免許で運転中、横断歩道のない場所を歩いて渡っていた鈴木さんをはねた後、車両の下に巻き込み、福島区吉野4の市道まで約3キロを引きずって走行し、殺害した疑い。

 捜査本部は1日、同市此花区内の駐車場で、底部に事故によるとみられる傷のあるトヨタ製「イプサム」を発見、血痕の付着も確認した。所有する近くの建築会社の社長らから事情を聴いたところ、勤務していた吉田容疑者が事件後に「辞めます」という手紙を残し、行方をくらませていた。車は主に吉田容疑者が使用していたという。

 捜査本部は今後、吉田容疑者の詳しい逃走経路や同乗者の有無、どの時点から殺意があったかなどを追及する。

 鈴木さんは背中の損傷が激しく、あおむけに引きずられたらしい。路上には、血痕とみられる黒い線が続き、はねられた現場に鈴木さんの靴とノート、遺体発見現場にはかばんが残されていた。

 死因は、頭の骨や肋骨(ろっこつ)の骨折、全身打撲などの外傷性ショックで、引きずられたことが致命傷になった。

 事件後、捜査本部は発生現場近くの曽根崎署1階の防犯ビデオなど約20本の映像を解析。ひき逃げ車両を黒っぽいワゴン車とみて、逃走経路の同市西部を中心に同型車をしらみつぶしに調べていた。 

 発生現場は、JR大阪駅前にある阪神百貨店前の交差点で、大阪で最もにぎわう繁華街の一角。遺体発見現場は、JR大阪環状線野田駅の西約500メートルのビルなどが建ち並ぶ地区だった。

 ◇鈴木さんの弟「兄、遺族に謝罪の言葉を」

 容疑者逮捕を受け、鈴木さんの弟の会社員、秀次郎さん(25)=大阪府吹田市=は「もう少し時間がかかると思っていたので、まず驚いたというのが率直な感想。まずはひと安心しました。これで兄に『ゆっくりやすんでほしい』と伝えられる。容疑者に対しては『社会的責任をとって、遺族の気持ちを理解してほしい』と言いたい。兄、遺族に対して謝罪の言葉がほしいと思います」とのコメントを出した。

 また、鈴木さんが勤務していた「三井不動産レジデンシャル」は「警察の懸命な捜査により容疑者が逮捕されたとの報をうけましたが、鈴木源太郎氏の元気なお姿をもう見ることはできません。改めて今回のいたましく無残な事件に強い憤りを感じます」とのコメントを出した。

毎日新聞 2008年11月5日 10時14分(最終更新 11月5日 12時06分)

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