サイエンス

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

妊婦拒否:杏林大病院など6病院も 女性意識不明の重体に

 おう吐や半身まひなど脳内出血の症状を訴えた東京都調布市の妊婦(32)が今年9月、リスクの高い妊婦に対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されている杏林大病院(東京都三鷹市)など6病院から受け入れを拒否されていたことが分かった。女性は最初の受け入れ要請から約4時間後に都立墨東病院(墨田区)に搬送され出産したが、現在も意識不明の重体。子供は無事だった。

 都内の別の妊婦が10月、墨東病院など7病院に受け入れを拒否され死亡した事故の約2週間前に起きたケースで、妊婦に対する救急医療体制の不備が改めて浮かび上がった。

 この妊婦のかかりつけ病院だった調布市の飯野病院によると、女性は出産のため9月22日に入院。23日午前0時ごろからおう吐や右半身まひなどの症状が出た。脳内出血の疑いがあり、医師が外科治療が必要と判断、午前3時ごろから複数回、杏林大病院に受け入れを要請したが、「産科医が手術中で人手が足りない」と拒否されたという。

 一方、杏林大病院によると、要請を受けた時、当直医2人が手術中で、約1時間後に再要請を受けた時も術後管理や空きベッドがなかったことから受け入れられなかったという。岩下光利・同大教授(産婦人科)は「飯野病院からの連絡に切迫性はなく、外科措置が必要との認識はなかった」と話している。その後、杏林大病院は飯野病院と分担し、小平市など多摩地区の3病院と23区内の2病院に問い合わせたがいずれも受け入れを拒否されたという。

 東京都内の周産期医療システムでは、多摩地区の総合周産期母子医療センターなどで受け入れができない場合は、23区内の八つの総合周産期母子医療センターが輪番で対応することになっており、午前5時半ごろ、約25キロ離れた墨東病院での受け入れが決定。同7時ごろ、搬送されたという。

毎日新聞 2008年11月5日 11時08分

検索:

関連記事

11月5日妊婦拒否:杏林大病院など6病院も 女性意識不明の重体に

サイエンス アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報