【カイロ高橋宗男】イラク国境に近いシリア領内への米軍による越境攻撃問題で、米当局者は27日、ロイター通信に、イラクへの外国人武装勢力密入国ネットワークを狙った攻撃で「作戦は成功した」と述べた。米国は公式には越境攻撃について沈黙しているが、アフガニスタンからパキスタンへの越境攻撃と同様に、対テロ戦争の遂行をためらわない強い姿勢を示そうとした可能性が高い。
米当局者がロイター通信に語ったところでは、外国人武装勢力をイラクに送り込んできた「アブ・ガディヤ」という男が死亡したとみられている。この男は「イラクの聖戦アルカイダ組織」の元指導者ザルカウィ容疑者(06年6月死亡)の腹心でシリア・イラク国境の越境ルートに通じていたとされる。
米軍特殊部隊による作戦だったとする報道の他、CIA(米中央情報局)の関与を示唆する当局者もおり、情報は交錯している。
シリアのムアレム外相は同日、記者会見し、殺害されたのは「丸腰のシリア民間人」と強調、「民間人の殺害は国際法では侵略テロだ」と糾弾。シリアと関係の深いイランやロシアも同日、米国の主権侵害を非難した。
米国が対シリア強硬姿勢を維持しているのに対し、欧州・シリア関係は、今年7月以降、雪解けが進んでいる。ムアレム外相は27日のロイター通信とのインタビューで、「米政権内の一部は中東の同盟国に『米国の対シリア政策は変わらない』とのメッセージを送りたいのではないか」との見方を示した。
シリア国内にはブッシュ政権の対シリア強硬姿勢への反発が渦巻いている。同国のマクダッド外務次官は今月中旬、毎日新聞に対し、「米国は(この8年間)何度も間違いを犯し、米国自身のマイナスイメージを増幅してきた。次期政権はその回復に真剣に取り組んでほしい」と話している。
毎日新聞 2008年10月28日 東京夕刊