深刻な医師不足に対応するため、文部科学省は4日、2009年度の大学医学部の総定員数について、本年度より693人増やし、過去最多の計8486人とする方針を明らかにした。医学部を持つ九州・山口・沖縄の国立・私立12大学では計97人増え総定員は1272人となる。大学設置・学校法人審議会の審議を経て年内に正式決定する。
増員枠は、政府の緊急医師確保対策に基づく189人と、重要政策運営の基本方針「骨太の方針2008」で示された特例措置の504人。
内訳は、国立大363人(42大学)、公立大59人(8大学)、私立大271人(27大学)。九州、佐賀、長崎、宮崎各大学は5人で、琉球大は7人。熊本、大分、鹿児島、山口、久留米、福岡、産業医科各大学は10人。
特例措置で増員する場合、医師の地域定着を進めるため(1)入試で地域枠や地域定着枠を設定(2)地域医療従事を前提にした奨学金制度などの創設‐のいずれかに取り組むことが条件。医師不足が深刻な診療科の対策なども課せられている。
九州大は、産科、小児科、小児外科などの横断的組織で、妊娠後期から新生児早期までの「周産期」専門医を育成するプログラムを充実。他大学も、離島・へき地で実習を行うなど地域医療教育の推進を掲げている。
定員総数はこれまで最多だった1981年度の8280人を上回るが、文科省は「来年度に限定した措置で、その後は厚生労働省の医師需給試算などを見て検討する」と話している。
=2008/11/05付 西日本新聞朝刊=