高級和牛「前沢牛」と表示したヒレ肉が、実際は山形産牛だったなどとして、ミシュランガイド東京で二つ星を獲得した高級フレンチレストラン「トゥエンティ・ワン」が、景品表示法違反(優良誤認)の疑いで公正取引委員会の調査を受けている問題で、「無農薬野菜」や産地をめぐる表示でも偽装が続いていたことが4日、わかった。
レストランを経営するヒルトン東京(東京都新宿区)の内部調査や、関係者によると、レストランのメニューやガイド本で「無農薬の野菜」と表示したり、食材ごとの産地を表示したりしていた。
だが、発注責任者だったフランス人シェフは、農薬使用の有無や産地の指定を怠ったまま注文。農薬を使った野菜や、産地が異なる食材が入荷され、「偽装」状態が続いたという。
この問題をめぐっては、公取委が9月上旬にレストランへの立ち入り検査を実施。公取委の指摘を受け、ホテルが調査したところ、遅くとも今年5月以降、ヒレ肉の産地偽装が判明。レストランの営業を自粛していた。
ホテルは「トゥエンティ・ワン」を閉店し、今月7日からは同じ場所で、フランスのミシュランガイドで星一つを獲得している、フレンチレストラン「ル・ペルゴレーズ」の東京店を新規開店することを4日に公表した。一方で、内部調査も継続するという。
ホテルは再発防止策として、表示の「お目付け役」を配置し、ホテル内の他のレストランについても、食材と表示をチェックするとしている。一方、発注責任者だったフランス人シェフは、新規店では雇わない方針だという。(高田英)