医師不足の深刻化に対応するため、文部科学省は四日、医学部がある七十九の国公私立
大(防衛医大を除く)のうち、富大など七十七の大学で二○○九年度の医学部定員を計六
百九十三人増やし、総定員数を八千四百八十六人とする計画を公表した。総定員は、一九
八一年度の八千二百八十人を上回り過去最多となる。
富大医学部医学科の総募集人員は十人増の百五人で、緊急医師確保対策で五人、県内出
身の現役生を対象とする地域枠で五人の増となっており、二〇一〇年度は地域枠をさらに
拡大する方針を決めている。地域医療教育と専門医研修を充実、高度な知識を備えた医師
を地域に送り出し、定着を図る。
金大は緊急医師確保対策、地元出身者を確保する特別枠でそれぞれ五人増の百五人、金
沢医科大は石川県内の指定校推薦制度の五人を含め十人増の百十人となっている。
特例措置として増員する七十三校は地域医療充実の貢献策を示し、多くの大学が奨学金
や入試での「地域枠」設定で、地元に根付く医師の養成に取り組むとした。
増員は、政府が昨年決めた緊急医師確保対策分として百八十九人、重要政策を示す「骨
太の方針二○○八」での特例措置分が五百四人。
文科省によると、特例で増員するには地域貢献策への取り組みが前提で、全七十三校が
地域の病院や診療所での実習をし、地域医療教育を強化すると打ち出した。
六十二校が、卒業後の一定期間、地域医療に従事する学生への奨学金を設ける。入試で
地元高校出身者を対象とするなどの「地域枠」を設けるのも四十七校に上った。
深刻な医師不足が懸念されている産科や小児科の教育内容を充実させる大学も三十四校
あった。今回の増員について文科省は「当面の緊急的な措置。一○年以降は医療界の意見
や厚生労働省による医師の需給状況を踏まえ検討する」としている。増員は年内に正式決
定の見通し。
定数増の内訳は国立大が四十二校で三百六十三人、公立大八校で五十九人、私立大二十
七校で二百七十一人。大学別では十人前後の増員が多く、順天堂大と岩手医大の二十人が
最も多かった。昭和大と近畿大は増員がなかった。
文科省は定員が増える大学への支援策を打ち出し、実習設備の整備費などを二○○九年
度予算の概算要求に盛り込んだ。