こども病院の人工島移転問題です。
医師会の中で発言力を持つ著名な外科医4人が先月、人工島移転に賛成の声を上げたことをお伝えしました。
ところが、こども病院に直接関係する産科や小児科の医師の間で、これらの外科医に対する反発が強まっています。
今月1日。
吉田宏市長が進めるこども病院の人工島への移転について、専門医の団体として意見を決めようと、福岡市とその周辺の自治体で開業する産婦人科医が市内のホテルに集まりました。
出席したのは県医師会の下部組織に当たる、産婦人科医会・福岡ブロックのメンバー。
異例の臨時総会が開かれたのは、この記者会見がきっかけでした。
こども病院の人工島移転に賛成を表明したのは、九大で医学部長を務めた杉町圭蔵・九州中央病院長をはじめ、県医師会副会長、病院協会会長、臨床外科医学会の会長といった、福岡県医師会の重鎮です。
しかし、この4人は全員外科医でした。
これに、専門の医師たちが、「成人を扱う外科医は門外漢で、子供不在の意見だ」と強く反発したのです。
福岡市内の産婦人科の開業医は、すでに全体の9割が人工島移転に反対する緊急提言書に署名しています。
外科医による賛成会見が開かれた翌日、福岡ブロックの産婦人科医会は、臨時総会の開催案内を郵送しました。
総会に出席した医師によると、集まった産婦人科医のうち、人工島移転に反対したのは8割に達していました。
しかし、人工島に近い東区と粕屋郡の医師から、「意見がまとまらない以上、会として決議すべきではない」との意見が出され、決定的な対立となるのを避け、ブロックとしての賛否は採決しないことに決まりました。
福岡ブロックの池田功会長は、「我々専門の医師の共通認識は『急いでハコモノを造っても周産期医療が機能するとは思えない』ということ。福岡市は現場の意見を聞かないまま、場所決定の経緯ばかり説明している」と、福岡市の姿勢を批判しました。
今回の産婦人科医会に続いて、小児科医会も今月10日に臨時総会を開いて議論する予定です。