北九州市八幡西区のセントマザー産婦人科医院で2006年、出産直後の女性=当時(31)=が死亡した問題で福岡地検小倉支部は4日、輸血など適切な措置をせずに出血性ショックで死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検されていた担当の男性医師(57)を、嫌疑不十分で不起訴とした。
女性は06年4月5日午前4時ごろ、自宅で出血して同医院に入院。男児を出産したが多量に出血し、呼吸困難などの症状が出て、同9時半すぎに搬送先の別の病院で亡くなった。
小倉支部は女性の死因について、血圧低下といった主要症状が見られないことなどから「出血性ショックと断定するには疑問」と判断。「出血性ショックに対処しても助かったかどうか分からず(死亡という)結果を回避する注意義務を怠ったとまではいえない」とした。
女性の夫(38)は「納得できない結果だが区切りはついた。息子を一人前に育てるため前向きに頑張っていきたい」とコメントした。同医院の田中温院長は「女性や遺族には申し訳ないが、医者が全部責任を取れというのは厳しい」と語った。
=2008/11/05付 西日本新聞朝刊=