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( ※ 本項の実際の公開日は 11月04日です。)
前項(マイ・マップの悪用)では、次の記事を引用した。
地図を作る場合、最初のプライバシー設定が「公開」になっているため、「非公開」を選ばないと自分用の地図が公開されてしまう。実は、これは不正確であることが判明した。
この記事を読む限り、普通の人は、自分の住所氏名が公開されることはない、と思うだろう。しかし、そんなことはない。私が調べたところ、未知の他人の住所氏名を、大量に見出すことができた。
これはどうしてかというと、マイマップの作製者が、「自分の住所氏名」だけでなく、「友人の住所氏名」をも公開してしまうからだ。
たとえば、以下は架空だが、次のような友人がいるとしよう。
・ 山田太郎
・ 鈴木花子
・ 田中大介
このような友人の氏名とともにその住所をマイマップ上に登録している素人が大量にいる。そのせいで、「友人の住所氏名」という形で、友人たち自身は知らないうちに、自分の住所氏名が公開されてしまうのだ。
この場合、マイマップを作成した素人は、自分の住所氏名を登録していないことがある。とすれば、面倒だと思って、あえて「公開から非公開にしよう」とは思わないかもしれない。「どうせおれの住所が好意解されるわけじゃないし。さらし者になるのは他人だけさ」と。
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しかも、である。「公開」に設定していた場合には、これらの住所氏名を一括して大量に見出す方法がある。(それはここには記さない。やばいので。ま、そんなに難しくはない。)
そして、そういう方法を知ったあとで、面白がって覗き見する人は、きっとたくさん存在するはずだ。
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ここまで見ると、グーグルの問題が判明する。
このサービスを「マイマップ」と呼んで、「ユーザーが自分の個人用途のためにご利用下さい」という方針を立てたことが、根本的に狂っていることになる。
Google のサイト には、次のような記述がある。
「次のようなさまざまな方法で地図を共有できます。
メール …… ページ右上の [メール] をクリックして、目的の地図へのリンク (URL) を記述したメールを作成します。
リンクをメールに貼り付け …… 地図へのリンクを共有して、それをウェブ サイトに置いたり、他の人に知らせたりできます。」
これは間違った記述だ。
これを読むと、「メールで情報を共有した人だけが、その情報を知るる」と思うだろう。それが常識だ。しかし、実際には違う。
では、正しくは? 次のようになる。
「《 非公開 》を選択した場合には、上記のようになります。
一方、《 公開 》を選択した場合には、その情報は、社会全体に公開されます。単に仲間内で共有されるだけでなく、ネットを通じて世界中にその情報が公開されます。」
たとえば、あなたの友人があなたの住所氏名を登録して、その設定を「公開」にすれば、あなたの名前を検索することで、誰もがあなたの住所を知ることができるようになる。
これは杞憂ではない。その実例が(次項の)「石原慎太郎」だ。どこかの誰かが、「石原慎太郎の家」というのを、登録してしまった。そのせいで、石原慎太郎は、自分の住所を公衆の目にさらされることになった。
麻生太郎も同様だ。この登録は、Google がなしたのではなく、どこかのおせっかいな人がやったのだ。
同様に、どこかのおせっかいな人は、あなたの住所を登録することもできる。(いや、すでに登録済みかもしれない。念のため、あなたの名前を検索してみるといい。すでに世界中に公開されているかもしれませんよ。 (^^); )
そして、あなたの住所が公開されたなら、ストリートビューによって、その自宅風景も公開されることになる。
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こうして見ると、Google のマイ・マップという概念そのものが根源的に狂っている、とわかる。
これは個人的に便利なツールではない。社会全体で情報を共有するためのツールだ。少なくとも、「公開」に設定している限りはそうだ。
また、「非公開」にしていてさえ、URL が公開されてしまえば、同様の結果になる。実際、すでに「非公開」にしているサイトを通じて、友人の住所氏名が漏れてしまっている。
【 注記 】──
なお、この件は、あとで修正されたようだ。「非公開」に設定したマイマップは、URL を入れても見えなくなっているようだ。( 2008-11-04 の調査。)
とすれば、いくらかは改善したことになる。
ただし、「公開」に設定されているマイマップから、「友人・知人」の形で情報がどんどん漏れる、という問題は解決していない。
とにかく、この問題は、マイ・マップというものの概念を根本的に作り替えるしかない。その点を、強く喚起しておく。
[ 付記 ]
実を言うと、ここには書かなかった問題が、もう一つある。
ただし、それを書くと、何人かの個人の情報がバラされてしまうので、問題を指摘しない。それを解決するには、やはり、マイマップというサービスそのものを根本的に作り替える必要がある。(それまでは問題点を公開する気はない。)
対処は、次の二つ。
(1) マイマップは、「非公開」を原則として、暗証番号によるログインを義務づける。
(2) それ以外は、「ソーシャルマップ」と称して、「公開」を原則とする。ただしそこでは、個人情報の暴露を禁止する。もしやらかしたならば、アカウントを削除する。
※ 後者を実行した場合、Google のストリートサービスそのものが許されないので、Google という会社そのものが排除されることになりますね。 (^^);
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なお、現状は、初期設定が「公開」なのだから、現状は「ソーシャルマップ」であることになる。
にもかかわらず、「マイ・マップ」と称して、個人用途向けの機能だと宣伝している。これは、比喩的に言えば、「ワープロを渡します」と称して、表計算ソフトを渡すようなものだ。「嘘つき」ないし「詐欺」同然である。犯罪的。
(……ちょっと言葉がきついかな? しかし被害者にとってはまさしく犯罪被害と同じような目に遭っている。その重大性に気づくべきだ。)