レンタル犬サービス会社「ジャネット」(東京都品川区)の所有する18頭がイヌブルセラ症に集団感染した問題で、ドッグカフェやドッグラン、ペットホテルなど同社施設を利用した飼い犬数頭からも疑陽性の反応が出たことが分かった。陽性かどうかは再検査を要するが、関係者はペットを巡る新ビジネスを介した感染の広がりに不安を募らせている。
ジャネットが運営する五反田(品川区)と浦安(千葉県浦安市)の両店で、感染が明らかになったのは2日。所有する59頭のうち18頭が陽性、38頭が疑陽性と判明した。同社は両店を閉鎖し、都動物愛護相談センターや保健所に報告した。
人に感染した場合、発熱やだるさなど風邪に似た症状が出る。犬は著しい症状は出ないが、流産などを起こす。
浦安店を利用していた女性(36)は「私の犬は陰性だったが、感染防止策も確立されておらず、素直に喜べない」と不安を口にする。
集団発生した原因も特定できず、荒木学社長は犬の隔離場所も確保できずに苦慮している。「症状が分かりづらいのでまん延しているかもしれない。行政には犬の抗体検査を義務付けてほしい」と訴えている。【長野宏美】
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■ことば
ブルセラ・カニス(イヌ流産菌)という細菌が発生源。犬から人への感染は99年以降に9例報告があるが、犬については報告義務がなく実態は不明。国内の犬の5%程度に感染歴があるとされる。07年には大阪府で集団感染し、府が100頭以上を薬殺処分し、動物愛護団体が抗議する事態に発展した。感染力は弱く、通常の生活で感染することはまれという。人から人へは感染しない。
毎日新聞 2008年10月21日 東京朝刊