「発信元はココだ」！実はバレバレ。110番への迷惑通報。

3日、大阪市に住む韓国籍のスナック店員の女（38）が、大阪府警東署に偽計業務妨害容疑で逮捕された。女は9月中旬から携帯電話を使い、およそ１ヶ月の間に7000回以上ものいたずら電話を110番にかけたという。動機として警察への不満を漏らしているというが、女は知らなかったのだろうか？このようないたずら目的の110番通報を撃退する秘密兵器が警察にはあるということを。

「むしゃくしゃしていた」「憂さ晴らしをしたかった」「誰でもいいから相手にしてほしかった」などなど、あまりに理不尽な動機で110番に迷惑電話をかける事例が後を絶たない。

今年の1月には千葉県で当時30歳の新聞配達員の男が前年の6月からおよそ半年間にわたり、合計3000回以上、多いときは1日に500件ものいたずら電話を110番にかけたとして千葉県警に逮捕されている。また、茨城県では、昨年1年間にかかってきた110番通報のうち、2割がいたずら目的の迷惑電話だったという。

携帯電話の普及に比例して、携帯からの110番通報も増加し続けている。ここに目をつけて開発されたのが「第3世代携帯電話による位置情報通知システム」である。同システムは、いわゆる「第3世代」と呼ばれる携帯電話から発信された110番通報に対し、通報者の音声とともにその電話発信位置情報までもが同時に通知されるというもの。通知された位置情報は警察内の指令室の地図上に表示されるという。
これにより、通報してきた本人の居場所の特定が容易になるため、今年3月には筑波山登山中に行方不明になった児童が早期に保護されるなど、早くもその威力を発揮し始めている。

一方で、同システムは迷惑110番通報の撃退にも大きな効果を見せている。第3世代携帯電話から迷惑通報をしてきた「犯人」を特定することが容易になるためだ。実際、5月には茨城県内で殺人予告の110番通報をかけてきた男が茨城県土浦署に逮捕されている。

ちなみに同システムは119番にも採用されており、不慣れな土地で119番通報したとき、気が動転して自分の所在地がうまく説明できないときなど、自らの居場所を相手側が把握してくれることにより、より迅速な救助を受けることが期待できる。

本来であれば、このように市民の安全確保をより的確に迅速に可能にすることを目的として開発されたであろう同システム。いたずら通報撃退のために使われるというのはなんとももったいない話ではある。

今後はこの「第3世代携帯電話による位置情報通知システム」をより多くの人々に知ってもらうことにより、一般市民がより迅速に確実に自らの安全を守ることができるようになるのはもちろん、一部の心無い迷惑通報者にとっては「あなたがかけていることはバレバレですよ」という強烈なメッセージとなることを願いたい。

110番、119番への通報は、生命や財産が脅かされた人々が頼る「命の綱」なのだから。

（編集部：村上あい）