2008年11月4日 12時16分更新
医療事故の遺族や医師らが再発防止策について話し合うシンポジウムが奈良市で開かれ、医師の無罪が確定した福島県の県立病院での帝王切開手術で娘を亡くした父親が「何があったか真実を知りたい」と訴えました。
会場の奈良女子大学の会議室には約60人が集まり、医療事故の遺族や医師らが意見を交わしました。このうち、渡辺好男さんは福島県の県立病院で行われた帝王切開手術で娘を亡くしました。担当の医師が業務上過失致死の罪などに問われましたが、無罪が確定しています。渡辺さんは「難しいお産だと言うことを十分に説明されないまま手術が行われ、その後も納得のいく説明は病院からなかった。未だに何があったか真実を知りたいと思い続けている」と訴えました。また、出産中に脳内出血を起こし、19の病院に受け入れを断られた末に亡くなった、奈良県五條市の女性の義父の高さき憲治さんは「行政や医師、医療事故の被害者が同じテーブルについて情報を共有し、再発防止策を話し合う場をつくってほしい」と涙ぐみながら訴えました。また、産婦人科の医師は「系列の異なる病院同士や違う科の医者同士では、患者の容態に関する情報の伝達や連携が十分でないことが多いので改善が必要だ」と指摘しました。