学校教育に関する記事
2007年12月26日
学校から=合志中学校(熊本県合志市) ハンセン病から人権考える
逃走防止用のコンクリート壁、刑務所代わりに使われた監禁室…。1年生230人は今月13日、国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(合志市)を訪れ、差別や偏見というハンセン病の負の歴史を伝える資料にショックを受けました。
学校は恵楓園の近くにあります。毎年、総合的な学習の時間などを利用して園を訪問し、人権学習の一環としてハンセン病の歴史や入所者の生きる姿勢を学んでいます。
授業のほかにも、部活動の1つに「恵楓園交流クラブ」があります。生徒の提案で今年5月に発足したばかりですが、部員は園を頻繁に訪れ、ボランティアでごみ拾いや草むしりをします。入所者の自宅に招かれて、交流を深めたこともあります。
実は学校と園のかかわりは深いのです。園内にはかつて入所者の子どもたちが通う合志中学校恵楓園分校がありました。1949年に開校し、75年まで162人が卒業しました。その後、休校となり、94年に閉校しました。
恵楓園は広さ約62万平方メートル。入所者が生活する寮のほか、納骨堂や自然公園があります。「恵楓園は広いけど、自分が入所していたら、きっと狭いと感じる」。生徒の1人はこんな感想を持ちました。国の強制隔離政策。無知が生んだ差別の恐ろしさをあらためて実感しています。
【写真】復元された監禁室を見学する生徒たち
=2007/12/26付 西日本新聞夕刊=