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【国際】

ダライ・ラマ、対中対話に失望感 『チベット人の間で批判高まっている』

2008年11月4日 朝刊

 訪日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世は三日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見し、中国当局との間で続けられてきたチベット自治に向けた交渉が、「チベットに前向きな変化をもたらさなかったため、チベット人の間で近年、批判が高まっている」と述べた。

 チベットの現状については、漢民族の大量移住で急速な「中国化」が進められた結果、「一種の文化的なジェノサイド(抹殺)が進行している」と非難。「私の中国政府への信頼はますます薄らいでいる」と、あらためて失望感を表明した。

 これまでダライ・ラマはチベット独立を放棄し、中国の枠内で自治を目指す考えを再三表明。三月のチベット暴動後も、チベット人たちに冷静な対応を呼びかけるとともに中国の五輪開催も支持し続けた。しかし対中対話で実質的な進展がなかったため、不満が一気に噴出した形だ。

 十七日から亡命政府のあるインド北部で、対話路線継続の是非が話し合われる。ダライ・ラマは「感情的にではなく、知的で十分に考え抜かれた議論になることを望む」と話した。 (外報部・浅井正智)

 

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