地震発生と大きな震度が伝えられる。心配していると、家屋倒壊などの被害はごくわずか。ほっとすると同時に、正直違和感を覚える。そんなことが幾度かあった。
同様に感じていた人が多いのだろう。気象庁が震度ごとに予想される被害を示した「震度階級関連解説表」の見直しへ、検討会を設けるという。例えば七月の岩手北部地震。
震度は6弱だった。解説表は「耐震性の低い木造住宅は倒壊するものがある」とするが、実際の全壊家屋は一棟。気象庁は特に木造建物で解説表と被害実態のずれが大きいとし、この点を主眼に調べるそうだ。
震度の計測方法もあらためて検証してみてはどうだろう。気象庁の職員が体感で決めていた震度は、阪神大震災の翌年の一九九六年から震度計による計測震度方式になった。
かつて航空機の高度計は腕時計のような三針式が一般的で、それぞれが万、千、百の単位(フィートなど)を示すようになっていた。速読が必要な場合に読み違えやすく、現実に高度の誤認による墜落事故がたびたび起きた(柳田邦男著「航空事故」)。
物差しが適切でないと、時に致命的な結果を招くことがある。教訓を生かし、高度計は一針式など読みやすい方式に改良されていった。地震を判断するための物差しも進歩が望まれる。