日本を訪問中のチベット仏教最高指導者・ダライ・ラマ14世が、JNNの単独インタビューに応じました。北京オリンピック前に来日した時と比べると、今回はまさに向かい風の中での日本訪問となりました。ニュース23の後藤キャスターが取材しました。
日本を訪問しているチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世(73)が、会見でチベット自治区の現状を訴えました。
「チベットは今、中国軍に占領されているような状態です。完全に支配され、恐怖に満ちています。“政治的教育”が強要され、人々の不満となっています」(ダライ・ラマ14世)
中国西部のチベット自治区は、独自の文化を持つチベット族が多く住む地域ですが、60年近く中国政府の支配が続きます。
今年3月、各地で起きた民衆蜂起を中国政府は武力で鎮圧し、国際社会から批判を浴びました。
批判の高まりを受け、中国政府はダライ・ラマ14世側との対話を再開しましたが、具体的な進展はみられていません。
Q.中国との対話についてどんな認識をお持ちか?
「中国政府は対話をすると表明し、胡錦濤主席本人がそれを承認しました。ですから私たちとしては、具体的な議論が交わされるだろうと期待していました。しかし、前回の対話が終わってみたら、中身は空っぽだったんです。中国側に、一方的に非難され続けただけでした。まさに今、私たちチベット側の代表が、中国に入っています。もう数日もすれば、今回の対話の結果は出るでしょう。しかし、どうなるかは、まだ私には分かりません」(ダライ・ラマ14世)
今月17日には、亡命したチベット人による会議が開かれ、中国との対話路線を継続すべきかどうか検討されます。
Q.会議で方針の転換があるか?
「私には分かりません。もし私がこれとこれをしなさいと、指図してしまったら、まるで共産主義者の会議のようになってしまうではないですか。党が方針を決め、人々の意見は聞き入れられず、それに従わなければいけない。そういうことを私たちはしませんし、そういうシステムには批判的です。ですから、中国との対話を継続するかどうかは、チベット人自身で決めることです。私は一貫して中立的な立場にあります。どんな結論が出ても歓迎します。私が『仏教の教えだから、こうしなさい』と言うこともありません。それは、民主主義の原則に反します」(ダライ・ラマ14世)
Q.中国国内の報道規制の問題があるか?
「それは本当に問題です。報道機関が厳しい検閲を受けています。それが大変な障害になっているのです」(ダライ・ラマ14世)
(03日23:15)