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新型インフルQ&A:医療機関の対応は?

 ◇大流行に備えて訓練、行政との連携重要に

 国内で新型インフルエンザ患者が発生した場合、医療機関はどう対応するのか。

 東京慈恵会医科大は10月、所在地の東京都港区と合同で大流行(パンデミック)に備えた訓練を実施した。想定は、週末の夜間、病院の救急室に商社勤務の男性が運ばれたというものだ。搬送の3日前に、鳥インフルエンザが人に感染する事態が発生するインドネシアから帰国し、高熱と呼吸障害があるという情報だけでの対応だった。救急医が保健所に連絡し、患者の血液を都の検査機関に輸送した。訓練は混乱もなく順調に終えた。だが、訓練後の意見交換では担当者が相次ぎ不安を漏らした。

 例えば、医師の一人は「空きベッドがあると、病院の収益にマイナスになりかねない」と打ち明けた。このほか、「他の患者が感染する恐れがある」「感染が疑われる患者が搬送され、結果的に陰性だったとしても風評被害がある」--などの意見が出された。また、都の担当者は「ウイルスを確定するのに数日かかっている。短縮する技術開発が必要だ」と訴えた。

 一方、厚生労働省が策定した行動計画では、住民の電話相談などを受け付ける「発熱相談センター」を保健所に、「発熱外来」を医療機関に設置するよう都道府県に求めている。だが、役割はあいまいで、今後、運用をめぐって混乱も予想される。

 訓練を企画した慈恵医大の浦島充佳(みつよし)・准教授(公衆衛生学)は「過去に発生した新型インフルエンザでは、行政の対応の違いで死者の数に大きな差が出た。他の感染症や生物テロにも対応するため、地域医療の質を上げることが問われている」と話す。【関東晋慈】

毎日新聞 2008年11月4日 東京朝刊

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