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【政論探求】田母神氏の重い問いかけ (1/2ページ)
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「日本は侵略国家であったのか」という問いかけはきわめて重い。近現代史の一面的な見方を見直そうという動きが各方面から起きていたが、その象徴的論文といえた。
だが、田母神俊雄氏は空幕長を更迭された。これまでの政府見解に沿わない内容であることは確かで、麻生首相としても「立場上、不適切」と言わざるを得なかった。
「村山談話」「河野談話」がいかに手かせ足かせになっているか、改めて思い知らされる事態だった。
アパグループの元谷外志雄代表が社会還元活動の一環として論文を募集、実は筆者も渡部昇一氏ら4人の審査委員の一員だった。235点の応募作品から社内審査で二十数点がまず選ばれ、CDで送られてきた。すべての論文は筆者名が削除されていた。
これを読み込み、2回の審査委員会で絞り込んでいった。最終段階で初めて氏名が明らかにされた。高得点となっていたのが、田母神氏の論文だった。
実はその瞬間に、今日の事態を予感した。内容が正論であっても、現職の自衛隊トップの論文となればただではすまない。政治記者時代の直感が働いた。
元谷氏が田母神氏に確認するという手順を経て、最優秀賞に決まった。田母神氏はそれなりの覚悟と信念を持って書いたのだった。
もう大騒ぎしなくてもすむ時代になったのかもしれない、というかすかな期待感はあった。だが、やはりだめだった。
朝日新聞の社説は「ぞっとする自衛官の暴走」とあった。その見出しにこちらがぞっとした。「自虐史観」「東京裁判史観」にがんじがらめになっているメディアの実態がそこにあった。
解散時期をめぐる与野党攻防で、野党側は格好の攻撃材料を手中にした。「日本人よ、誇りを取り戻そう」という田母神氏の訴えは、政局の渦に飲み込まれることになる。