来日中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(73)は3日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、自らが推進してきた中国との対話路線がチベットに前向きな変化をもたらさなかったため、「チベット人の間で批判が高まっている」と述べた。
このため対話継続の是非などを亡命チベット人の代表らで協議する緊急会議を17日から亡命政府のあるインド北部ダラムサラで開くことになった。会議には独立急進派団体も参加する。
ダライ・ラマは1988年に、チベットの中国からの独立ではなく「高度の自治」を求める「中道のアプローチ」を国際社会に宣言。その後の中国側との対話の過程で「チベットは独立を求めていない」と中国当局者が理解を示したこともあったが、中国政府は「ダライ・ラマは分裂主義」との立場を変えていない。
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ダライ・ラマ14世は3日、北九州市小倉北区のホテルでも会見。日本の被爆体験に触れて「核の使用を食い止める動きは各国で高まっていくべきだ」と強調。「核被爆国の日本は原爆の使用禁止や武力の非行使でイニシアチブを取るべきだ」と国際社会での日本のリーダーシップに期待した。
ダライ・ラマは4日に福岡県仏教連合会が開く講演会のため北九州市入り。訪問の意義について「私たちは皆、お釈迦様の弟子。仏教同士の交流も大切だ」と語った。