宙水の台北散歩②
台北での二日目。朝,7時30分に目が覚めてまた寝坊したなと思ったが現地時間ではまだ6時半だった。シャワーを浴びて同室のTさんと下の食堂に降りた。よくあるバイキングであったが,土地柄やはり中華粥とフルーツの類が美味しかった。食後,で朝の散歩に出た。暖かいのでTシャツ一枚で十分ある。ホテルが面する中正北路を南に行くとミッション系の大きな総合病院「馬偕病院」(マッケイ病院)があった。もともとはカナダの宣教師が始めたらしい。その角を左折して民生東路を西に歩くと朝市が立っていて賑わっていた。中華饅頭の類やシューマイ,お粥などの食品からお肉や野菜果物,衣類,魚屋,練り物,詰め物,揚げ物などありとあらゆる店が出ている。熱々のシュウマイを一つ買ってほおばってみた。一個10元だから30円弱。美味しい。1個35元の厚めの小判型の月餅のような手造りケーキ「鳳黄酥」も3個100元に値切って買ってみた。台湾土産では「夏梨酥」(パイナップルケーキ)がもっとも有名だが,美味しい「水果酥」(フルーツケーキ)もなかなかいける。

8時30分にホテルを出て市内観光に向った。東京駅のような赤レンガの旧総督府や旧帝国大学医学部などを車内から見る。官庁の建物は戦前のものもまだ使っているようだ。今年の総選挙で政権を奪取した国民党の総裁の公館は塀が高く築かれものものしい警備振りである。張さんの話によると国民党と民進党の争いで、投石や火炎瓶などを投げられることがあるという。1895年から50年間の日本時代が終わり,大陸から毛沢東に追われた蒋介石の国民党軍が進駐してきた際に3万人の台湾人知識階級などを殺害し公職を独占した。案内の張さんは「支那人は煮ても焼いても喰えないから気を付けろと僕の先生は言っていた。」と言うのでその先生は日本人かと聞くと「先生は台湾人だ。台湾人は皆支那人が嫌いだ。だから家では北京語を話さない。台湾は台湾だ。中国ではない。」と言った。外省人と内省人(台湾人)の争いは今も続いている。民進党は内省人を基盤としており,国民党は外省人を基盤としているが,戦後生まれ の外省人は必ずしも一つの中国にこだわらない人も多いそうだ。

その後,東京で言うと浅草のような下町にある
龍山寺に行った。浅草観音様のように観光名所になっているが,土地の人の信仰を集めており,大勢の地元の人がお参りしている。熱心な信者の読経の声が聞こえる。信者の方が寄進した線香を頂いてお願い事をお祈りしてみた。ボランティア団体が日本語の経典を無料で配っていた。

国民党の創始者,蒋介石を記念する
中正記念館に行った。約26万㎡という広大な中正紀念公園のなかに元総統の偉業を記念する中正紀念堂と、世界に誇る文化の殿堂、中国の宮殿のような国家戯劇院と国家音楽廰がある。巨大な敷地は公園となっており,ピラミッドのように四方から上れる建物の階段90段(蒋介石の没年)を上るとドーム型の建物の上に瑠璃色の屋根瓦が載っているのを見ると北京の天壇公園を思い出す。世界遺産の天壇公園の古い清朝の建築,祈念殿を模したのではないかと思ってしまう。ただし,こちらの方は中身は鉄筋コンクリート製ではあろうが…。ドームの中には蒋介石の巨大な坐像(高さ6mブロンズ像)が置かれ,一時間毎に陸軍の儀丈兵が,いかめしい動作で行進してきて衛兵の交代をする。その様子を多くの観光客が見るために来場する。中正記念館は、民進党政権下では一時、自由と平和を祈念する館に名称変更されていたが、今年の総選挙で国民党が政権をとり、また、元の名前に戻した。
中正記念館の前の大広場では台湾の仏教の慈善団体「慈済会」が全世界に対してボランティアを行っていることを示すために大規模な写真展を行っている。話を聞くと会員は400万人を超えるという。

台北市の北部に行き
忠烈祠を参拝。ここは日本で言えば靖国神社。33万人の英霊が祭られるが,多くの観光客はそんな意味に関係なく衛兵の交代(こちらは海軍の儀丈兵)をショーとして見物している。日本人の女の子達が「これって何に敬意をあらわしているのかね?」なんて言っているのが聞こえる。施設の意味を理解せず,格好のいい儀丈兵の行進を見世物として見ているだけである。入り口の門の壁には日本軍と国民党軍が上海で戦ったのを描いたレリーフがあるが,殆どの人は見ることもない。

その後,新生北路と長春路の交差点の西詰め南側にあるおみやげ物屋に連れて行かれたが,さっさと切り上げて散歩する。昼前で直ぐに食事だったが,一緒に歩いたSさんと,「のどが乾いたのでビールでも飲みましょうか?」と言ってフラっと長春路に面するお土産屋の反対側歩道を50mほど西に行き,料理屋に入った。小龍包と牛肉麺を注文しビールを飲んだがどちらも非常に美味しく感動した。次から次へと店に入ってくる日本人の若い女の子達のグループに何でここを知って来たのかと聞いてみたらガイドブックに載っている有名な店だそうだ。「
京鼎楼」という名前だった。偶然に名店に入ったようだ。満足して向かいのお茶屋「
昇祥茶行」に入ってみると日本語が通ずる愛想の好いおばさんの親子と話して品質のいい高山茶と東頂烏龍茶の葉をお土産に買った。


「昇祥茶行」
Sheng Shang Cha Hang
台北市長春路52号1F tel+886-2-2542-7205
http://www.geocities.com/ssteatw2000/ 昼飯は広東料理だったがあまり有名な店ではなかった。昼食後,現在,世界で一番のっぽビルである台北101ビルに登った。400メートル級のビルである。遠くの景色は霞んでいたが,エレベータは高速で展望台のある89階まで37秒で到着する。見物後,下に降りて飲食街や高級スーパーマーケットがある地階でふらふらした。夕食後,夜市に行くことにして地下鉄の「志林」駅前で降りた。駅前から続く夜市はすごい人ごみで,行動は困難を極めた。人の海の中をジグザグと歩いた。飲食店や衣類や雑貨,お土産,ゲーム店などありとあらゆる店が建っている。その中を縦横に細い路地が走っている。落ち着いてビールを飲んだりするのは,無理なので見物だけでもっと小規模の夜市に行くことにした。市内の西部にある寧夏路の夜市までタクシーで送り届けてもらった。屋台の間をぶらついた後,屋台でない餃子屋に入った。店の人に聞くとここにもビールは置いてなく,近くのコンビニから人数分缶ビールを買ってきて持込みで飲んでもいいというので,早速そのようにした。税の関係か何かしらないが小さい店だと常設店か屋台かに関係なくビールを置いていない所が多い。餃子のほかいくつかの小采や米粉麺を頼んで乾杯した。小雨模様となってきたが,散歩がてら歩いてホテルまで帰ることにした。ホテルは北西の方角にあったのだが,北北東に向いて歩いて行って重慶北路を北上し民権西路を通り過ぎて民権国中学校の辺りでどうも方向が少しおかしいと思い,若い人に英語で道を尋ねて引き返し,民権西路を東に向ったが,承徳路で雨が強くなったのでタクシーを拾ってホテルのある中正北路まで戻った。30~40分かかった。その後,ホテルのバーで一杯やった。

←「クリックしていただけると励みになります。お願いします。」
◆人気ブログランキングへ参加しています◆
クリックしていただければ感謝、感激します。