◆DJミキサー分解



 以前、ソフマップの中古売り場で2800円で買ったジャンク品のDJミキサー「Roland DJ-2000」という機種を破壊します。
 「ジャンク品」という理由は、取説やケーブルがなく、スライダーのガリとヘッドフォン端子のネジが外れて中に潜っていただけで、その気で修復したら数時間で完動品の状態に戻せるレベルです。


 そもそも、このDJ-2000とはRolandの誇るGrooveBox商法の流れから派生した機種で、当時、10万円くらいで売られていたような記憶がありますが、当時は「アホのビギナー専用機」と誰もが思ったことでしょう。
 このDJ-2000の特徴は「とにかく色がケバい」。場末のスナックにいる厚化粧のおばはん並のケバさがあり、DJたちの間では持つこと自体が許されない代物とされていました。もちろん、自分も同じ考えであったものの、いざ「ジャンク! 2800円」と書かれたミキサーを見ると意識を失います。
 意識が戻ったときにはマジックリンと接点復活剤を手にして部屋でシコシコ掃除をしているわけです。これは不治の病だから仕方ありません。

 しかしながら、実際に触ってみると、デキがすごく良いのに驚きました。
 特にDSPの部分の完成度は秀逸で、Pioneerと同等のレベルになっています。
 エフェクトボタンをオンにしてもクリックノイズも入らず、その際、起こりがちなダイナミックレンジの変化すらも感じることなく自然なミックスができます。
 一例を挙げるならば、アイソレーターです。これVestaxのようなDSPのノウハウのない会社が作った場合、オン/オフではクリックノイズが入ることがよくあるのですが、それがないという状態です。この辺りは、「腐っても鯛」。さすが楽器メーカーというだけはあります。
 このDSPの部分、ディレイ、フランジャー、エコー、フィルター、スライサー、オートパンといった基本的なエフェクトはもちろん、ボコーダーまで装備しています。ただし、ボコーダーというよりオーバードライブという感じの荒いレベルのものです。また、カットオフやレゾナンスの部分も専用のツマミが装備されているため操作感も抜群です。
 他にもフリーケンシーやシンクなどの微調整をおこなえるスイッチなども装備しており、キモといえるBPMシンクも装備しています。当然、オートBPMカウンター(タップ付き)もDSPの一部として装備しています。

 しかしながら、問題はアナログ部分にあります。
 各インプットモジュールやクロスフェーダーといったスライド式フェーダーの部分でガリやクロストークがすぐに起こるといったDJミキサーとしては信じられないようなパーツを使用しています。
 クロスフェーダー以外はすべて半田直付けですので、メインミキサーとして使っていたとしら交換ができない人は大変だと思います。
 そうした意味からも、分解してDSP部分だけ取り出してDJ専用エフェクターとすることにしました。


【破壊開始】
 まず、裏面を開いたところです。
 電源部分、入出力端子部分、アナログ部分とDSP部分が、それぞれ別々に構成されていることが分かります。オーディオ機器の修理や改造の経験がある人なら、ここを見ただけで取り出し可能であることがすぐに分かるはずです。


 さらに、フロントパネルに注目。このDSP部分は、フロントパネルも六角レンチで取り外せることが分かります。……というか、すでに外しています。おそらく兄弟機種のDJ-1000や、他機種でも流用できる設計としたからなのでしょう。


 中を確認すると、大きくて重いトランスのある電源部分からケーブルが何本か接続されています。ケーブルは茶色と黒色の二色のみ。本来、黒、白、緑あたりがGNDになるはずですが、各種ライン系統の接続を頭に入れて考えると次のように予測できます。

[黒]+(各種ライン系統含む)
[茶]−(GND)

 ここから接続されているケーブルはすべて電源供給のものだと考えられます。
 電源はトランス通過後、レギュレーターに入っているので、異なるいくつかのヴォルテージを出力してる可能性があります。いずれにしても最低5V、あとは12Vしか考えられません。そのあたり、テスターで調べればはっきりするので後回しにします。


 DSP部分の基盤を見ると、やはりここだけICが多数使用されています。いずれにしても、アナログ基盤からこの基盤につながっているラインレベルのイン/アウト部分だけを探せばよいのですから難しくはありません。
 このラインレベルのイン/アウト部分を見つけて、ピンジャック(RCA-PIN)をイン/アウトとして半田付けして、電源供給は汎用のACアダプターから取れるようすればいいだけです。問題はどう取り外してゆくかです。


 DSP部分の基盤がポロンと取れました。このDSP回路部分はパーツも含めて完全に個別にデザインされていたことが分かります。だとするなら、アナログ部分が壊れやすいDJ-1000とDJ-2000はDSPエフェクター専用機にするにはもってこいの機種だといえます。よほどの理由がない限り、このDSP回路部分は壊れることはないと思われます。


 このDSP部分の基盤も含めて、ラインの接続はすべて汎用のコネクターになってます。あとは、それぞれがどう繋がっているのか、回路構成を把握した上で、外していくだけです。汎用のコネクターは外すための理屈は簡単なのですが、個体差によりなかなか外れないものもあります。ケーブルがこんがらがってイライラしてきました。


 まどさんは頭にきたから全部分解しました。見事なくらいバラバラになりました。
 バーカヽ(´ー`)ノバーカヽ(´ー`)ノバーカヽ(´ー`)ノ~。
 DJミキサーといえど、まどさんを怒らせるとこんな運命になります。
 「元に戻せるの?」という声もあるでしょうが、全然問題ありません。プロは完璧にできるのです。……いつもネジ3本くらい余るのだけど(汗)。


 うぉりゃ〜! 見たか〜! DSP基盤のブッコ抜き!(by ネットランナー)。
 あとはマザーボードとつながっていたケーブル部分がインアウトになるわけです。
 各入力モジュールからセンドでDSPに入力され、ステレオでマスターバスにリターンという仕様になっているはずです。この部分の信号はすべて-10dbのラインレベルになっているのでプラスとマイナスをブルートフォース式にショートさせていけば答えは出ます(笑)。そして、それらをピンジャックに半田付けすれば接続はできます。
 あとは、動作させるための電源です。テスターで計測して、適正なアダプターを挿してみることにします。


 ……ということで、次回はDSPエフェクターボックス化の最終章。

 秋葉でパーツの購入と、ボックスに穴を開けて半田でライン接続などをおこないます。ここからが楽しみなところです。
 コネクターはノイトリック。ラインはすべて高純度素材を使用したテフロン加工の細巻きシールド、半田は高純度でシグナルロスを最低限にする仕様にします。

 あと、DJミキサー本体の方もDSP回路抜きとして復活させる予定です。
 DSP回路抜きなので、おそらく音質は若干の向上があると思えます。
 他にもマイク回路の部分を完全にキルアウト。使わない回路はすべてショート。フェーダーはすべて分解して接点復活剤でギシギシ。コンデンサーは取り換え。これDJミキサーを買ってからすることの基本です。DJミキサーの方は、DSP回路のところが空いているので、セキュリティのために貯金箱(鍵付き)をつける予定です。
 完成後、アカデメイアからのプレゼントとします。

 また、今後はSL-1200MK II,IIIの逆回転化とか、ピッチの外付け化とか、ミキサーの改造とか、そこらにない情報も公開するからなー。バーカヽ(´ー`)ノ。


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